「頑張っているのに儲けが出ない原因は外部環境のせいではない、戦略が間違っているからだ。」と指摘している本があります。
本日紹介するのは、小さな会社や独立起業の事例研究家で、作家・セミナー講師の栢野克己さんが書いた、こちらの書籍です。
栢野克己『小さな会社の稼ぐ技術』(日経BP社)
この本は、「弱者でも正しい戦略を実践すれば、局地戦では大企業を打ち負かすことができる」と説き、ランチェスター戦略を正確に理解して、中小零細企業の戦略に応用する方法を、分かりやすく解説した書です。
ランチェスターの法則は、イギリス人のエンジニア、フレデリック・W・ランチェスターが1914年に発表した戦闘の数理モデルです。要は、戦力などを数値化して、敵と戦ったらどういう結果になるかを科学的に数字で表わせるようにして、「こういう条件で闘えば、ほぼ必ずこうなる」という法則を発見しました。
第二次大戦では、米国を中心にした連合国軍側が、軍事作戦や攻撃効果の分析・決定にこの法則を応用して活用し、大きな成果を上げた、と言われています。
その後、ランチェスターの法則をビジネスに応用して成功する経営者が続出し、日本でも1950年代以降、和訳の書籍も刊行されて広く知られるようになりました。
その中で、竹田陽一さんの研究や書籍は有名で、本書の前身になる、竹田陽一・栢野克己共著『小さな会社☆儲けのルール』(フォレスト出版)は、10万部を超えるベストセラーになっています。
本書の著者である栢野克己さんは、もともと竹田陽一さんに弟子入りして、ランチェスターの法則を学んだ、ということです。
本書は以下の8部構成から成っています。
1.「頑張る=儲かる」ではない
2.弱者の戦略、強者の戦略
3.成功する商品の選び方
4.成功する地域の選び方
5.成功する客層の選び方
6.成功するお客の作り方
7.成功するファンづくり、顧客対策
8.夢の実現
本書の冒頭で著者は、ケーススタディとして、大阪の弁当FC店が、経営危機から、どのような弱者の戦略を実践して経営を軌道に載せ、成功に導いたのか、という長いストーリーを紹介しています。
この事例の中で、大阪の弁当FC店が実践した行動は、以下のようなものです。
◆ お客にお礼ハガキを書く
◆ お客の名前を覚えて名前で呼ぶ
◆ 顧客名簿を作る
◆ たまにお客にごきげんうかがいの電話をする
◆ 来店客にお茶やおしぼりを出す
◆ 営業エリアを絞る
◆ 客層を絞る
◆ 来店客以外に、事業所向けデリバリーを増やす
◆ 飛び込み訪問による挨拶回りをする
◆ 顧客フォローでニューズレターを出す
◆ 店頭にスタッフの自己紹介ポスターを貼る
◆ 作業マニュアルを作る
◆ 顧客を招いたイベントをする
◆ 顧客の集うコミュニティーを作る
◆ 顧客をリピーター、ファン、信者にする
これらの実践した施策を、竹田式ランチェスター経営の観点から分析し整理して、本書では分かりやすく説明しています。
詳細は書きませんので、興味のある方はぜひ、本書をお読みください。その他、次のような「ランチェスターの法則」をビジネスに応用した戦略の要諦が、本書では惜しみなく紹介・解説されています。
◆ 戦術3分に戦略7分
◆ 社員は戦術、社長は戦略
◆ 顧客 × 競争相手 × 自社-できる人は3つの中間点で考える
◆ 成功する「商品の選び方」がある
◆ 成功する「地域の選び方」がある
◆ 成功する「客層の選び方」がある
また、「弱者の戦略」として、ポイントは以下の4つだ、と本書では提唱しています。
1.差別化
2.小さな1位
3.一点集中
4.接近戦
それぞれ解説は面白いのですが、これも本書に譲ります。ぜひ、読んでください。また、孫正義ソフトバンクグループ社長も実践する「孫子の兵法とランチェスター」の関係についても、本書では触れています。
また本書の最後には、迷った時に思い出してほしい「竹田陽一語録」が15語録も掲載されていて、これもたいへん参考になります。私には心に染み入る言葉の数々でした。
1.独立起業は人生の敗者復活戦
2.暴発的な独立は自滅のもと
3.あまのじゃくな人や変人は有利
4.40歳過ぎたら自分に合わないことはしない
5.夢や目標がわからないのは普通
6.転職や商売替えも手段の1つ
7.成功者は朝が早い
8.趣味は捨てる、同窓会も行かない
9.感謝は態度で示せ
10.本気はワザを越える
11.人生は「出逢い」で変わる
12.すなおが一番
13.仲間をつくる
14.まねをする、パクる
15.努力のあとに人格が形成される
あなたも本書を読んで、ランチェスター戦略に立脚した「小さな会社の稼ぐ技術」を学び、実践してみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を