「文章のコツ」として、多くのプロが大切にしているルールから順に、身につけてもらおうというコンセプトに従って、文章術の名著「100冊」のエッセンスを1冊にまとめた本があります。
本日紹介するのは、編集プロダクションや出版社にて書籍の編集、ライティングに従事したのちフリーランスとなり、現在は株式会社文道 代表取締役の藤吉豊さんと、編集プロダクションで書籍編集やライティングに従事したのちフリーランスとなり、現在はビジネス書や実用書の執筆を行う株式会社文道 取締役の小川真理子さんが書いた、こちらの書籍です。
藤吉豊・小川真理子『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』(日経BP社)
この本は、著者2名が文章術の名著「100冊」を真剣に読み込み、文章のプロが持つ共通のノウハウを洗い出し、ランキング化して整理した書です。
本書は以下の3部構成から成っています。
1.100冊を集めてわかった本当に大切な「7つのルール」
2.100冊がすすめるスキルアップ「13のポイント」
3.さらに文章力を高めるための「20のコツ」
この本の冒頭で著者は、ランキングの決め方を以下の通り、説明しています。
◆「文章の書き方」をテーマにした本(文章読本)を「100冊」購入
◆ どの本、どのようなノウハウが書かれているのかを洗い出す
◆ 共通のノウハウをリスト化する
◆ ノウハウをランキング化する
続いて、本書の「9つのメリット」を次の通り挙げています。
1.文章を書く上で普遍的で大切なコツが、重要な順に身につく
2.正確でわかりやすい文章が書ける
3.読み手の感情を動かす文章が書ける
4.読み手を不快にさせない文章が書ける
5.速く書ける
6.「何を書いたらいいかわからない」という悩みが解消される
7.文章に対する苦手意識がなくなる
8.文章によるコミュニテーション、誤解、気持ちのズレを防ぐ
9.ポータブルスキルが身につく
本書の前半では、「本当に大切な7つのルール」について、以下の通り説明しています。
1.文章はシンプルに(簡潔・60文字以内・ワンメーッセージ)
2.伝わる文章には「型」がある(逆三角形・PREP法・三段型)
3.文章も「見た目」が大事(余白・漢字ひらがなバランス・リズム)
4.文章は必ず「推敲」する(時間を置いて・出力・音読・第三者の目)
5.「わかりやすい言葉」を選ぶ(簡単な言葉・専門用語は解説)
6.比喩・たとえ話を積極的に使う(直喩・隠喩・擬人法)
7.接続詞を正しく使う(適度に使う、逆のことを書く場合は使う)
この本の中盤では、「スキルアップ13のポイント」について解説しています。主なポイントは次の通りです。
◆ 思いつきはメモに、思考はノートにどんどん書く
◆ 「正確さ」こそ、文章の基本
◆「名文」を繰り返し読む
◆ 主語と述語はワンセット
◆ 語彙力をつけろ、辞書を引け
◆ 「、」「。」をテキトーに打たない
◆ 段落はこまめに変える
◆ とにかく書く、たくさん書く
◆「わかりにくい」と思ったら修飾語を見直す
◆「書き出し」にとことんこだわる
◆「読み手」を強く意識する
◆「は」と「が」を使い分ける
◆ 名文を書き写す・真似る
本書の後半では、「さらに文章力を高めるための20のコツ」について考察しています。主なポイントは以下の通り。
◆ とりあえず、書き始める
◆「何を書くか」を明確にする
◆ 文末の「である」と「ですます」を区別する
◆ 体験談で説得力を高める
◆ 書き始める前に「考える」
◆ 同じ言葉の重複を避ける
◆「見出し」で内容を端的に伝える
◆ 日頃から内面を豊かに耕す
◆ 同じ主語が続くときは省略してみる
◆ 考えるために書く
◆ テクニックでごまかさない
◆「一番好きな文章」を見つける
◆ 的確なインプットでオリジナリティを高める
◆ わかりにくいカタカナ語は日本語に
◆ ビジネス文書・論文は「話し言葉」より「書き言葉」
◆ ビジネスメールは簡潔さが命
◆ イメージまで共有できれば、誤解なく伝わる
◆ 発見や違いを盛り込んで、文章を「おもしろく」する
◆ 根拠を示す
◆ 過去形と現在形を交ぜると、文章がいきいきする
この本の締めくくりとして著者の藤吉豊さんは、「文ハ 是レ 道ナリ」という「株式会社文道」の社名の由来を紹介し、「書くことは、人生そのものである。書くことは、人がふみ行う道徳・道理である」という社名に込められた思いを紹介しています。
またもう一人の著者・小川真理子さんは、40項目におよぶ有用な文章作成の「心構え」「テクニック」「上達法」の中で、「とくに効果のある、文章上達の方法は何か」と問われたら、第15位に挙げた「とにかく書く、たくさん書く」であると答えるでしょう、と述べています。
そして、著者二人が「おわりに」で言及している「愛語」について、禅語(前の言葉)であるとして、次の意味を紹介しています。
◆「心のこもったやさしい言葉」
◆「親しみのある言葉」
◆「愛情のこもった言葉」
◆「人を守る言葉」
本書の巻末には、参考にした名著「100冊」のリスト(順不同)が掲載されています。
あなたも本書を読んで、時代や環境の変化に左右されにくく、いつでも、どこでも、どのような仕事をしていても役に立つ「書く力」を身につけ、ポータブルスキルである文章力の向上を目指してみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【3072日目】