「他人に対して冷淡で不機嫌な社会、それが今の日本だ。」と警鐘を鳴らしている本があります。
本日紹介したいのは、経済学博士で、慶應義塾大学教授の井手英策さん外が書いた、こちらの書籍です。
井手英策『分断社会を終わらせる:「だれもが受益者」という財政戦略』(筑摩選書)
この本は、世代間、地域間、性別間、所得階層間それぞれの対立が激化して、バラバラな存在に追いやられている私たち現代人に向けて、どうすれば「分断社会」を終わらせることができるかを提唱している書です。
本書は以下の6部構成から成っています。
1.分断社会・日本
2.不安の発生源
3.恫喝と分断による「財政再建」
4.不幸の連鎖からの脱却-「必要=共存」型の社会へ
5.来たるべき時代の胎動
6.縮減の世紀に立つ
海外から日本を訪れる人たちは皆、口を揃えて、「日本は素晴らしい国だ」と絶賛します。治安はよく、街はきれいで、人々は礼儀正しくて親切。そして、歴史的建造物や豊かな伝統文化・行事。
それなのに、日本の社会には言い知れぬ「不透明感」、「将来不安」、「閉塞感」などが拭いきれないのは、何故なのでしょうか。
この本は、「財政」を切り口として、この問いに迫り、その解決策を打ち出すことをめざして書かれています。
本書の冒頭で著者は、「私たちの社会が傷んでいる」と、危機感を訴えています。
そして、弱者に冷淡な社会は、戦後の池田内閣に始まる「勤労国家レジーム」にその端があり、かつての価値観やスキームが現在の時代に合わなくなってきたことで矛盾が露呈しつつある、と述べています。
つまり、高度経済成長が終わり、安定成長から経済の長期停滞、そして財政赤字の累増という現在にいたり、かつての「勤労国家レジーム」に変わる仕組みを作らなければならない局面になりました。
本書では、教育、医療、介護など、社会的に必要最低限のものはすべて税金でまかなう「必要原理にもとづく制度改革」を提唱しています。
そういう制度のもとでは、高額所得者・納税者も含めて、すべての国民が「受益者」となる仕組みで、すべての人に「受益感」があるため、税負担に対する納得感が得られる、ということです。
これらの提言について、著者のひとりである井手英策さんは、『18歳からの格差論』(東洋経済新報社)の中で、より分かりやすく解説・紹介しています。併せて読むことをお薦めします。
また本書の中で著者たちは、たとえ消費税増税などにより、すべての国民の税負担が増えたとしても、それ以上に必要最低限のサービス保証が得られるならば、将来不安は消えて、今よりずっと生活は楽になるし、豊かさを時間出来るはずだ、と主張しています。
あなたも本書を読んで、分断社会を終わらせる「財政戦略」について、学んでみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を