書評ブログ

『僕は君たちに武器を配りたい』

「資本主義の中で生き残るためにゲリラ戦を戦え。」と提言している本があります。

 

 

本日紹介したいのは、マッキンゼー&カンパニー勤務を経て、コンサルタントや投資家として活躍する一方、京都大学起業論を教えている瀧本哲史さんが書いた、こちらの書籍です。

 

 

 

瀧本哲史『僕は君たちに武器を配りたい』(講談社)

 

 

この本は、これから社会に旅立つ、あるいは旅立ったばかりの若者が、非情で残酷な日本社会を生き抜くための「ゲリラ戦」をすすめる書です。

 

 

2008年のリーマンショック以降、とくに新卒で社会に出ようとしている学生たちには厳しい環境が待っていて、「ブラック企業」という言葉が流行になり、多くの新入社員は3年を経たずして退職に追い込まれています。

 

 

インターネットによる応募になってからは、いわゆる就職ビジネス就活ビジネスが盛んになり、一部の超大手有名企業のみに学生の応募が殺到して、大量の書類選考による不採用が出るようになっています。

 

 

学生のほとんどが、数十社にエントリーシートを送っても、いくらウェブテストを受けても内定がもらえず、疲れ果てて就職活動自体を辞めてしまう学生も少なくありません。

 

 

こうした厳しくなる状況の中で、一人でも多くの学生に、この社会を生き抜くための「武器」を手渡したい、という思いからこの本は書かれました。

 

 

 

本書は以下の9部構成から成っています。

 

 

1.勉強ができてもコモディティ

 

2.「本物の資本主義」が日本にやってきた

 

3.学校では教えてくれない資本主義の現在

 

4.日本人で生き残る4つのタイプと、生き残れない2つのタイプ

 

5.企業の浮沈のカギを握る「マーケター」という働き方

 

6.イノベーター=起業家を目指せ

 

7.本当はクレイジーなリーダーたち

 

8.投資家として生きる本当の意味

 

9.ゲリラ戦のはじまり

 

 

本書の前半で著者は、「コモディティ」という概念を、重要なキーワードとして説明しています。

 

 

市場に出回っている商品が、個性を失ってしまい、消費者にとってみればどのメーカーのどんな商品を買っても大差がない状態「コモディティ化」と呼びます。

 

 

経済学の定義によれば、コモディティとは、「スペックが明確に定義できるもの」のことを指すようです。

 

 

つまり、「個性のないものはすべてコモディティ」ということになります。そうすると、安ければ何でもいいということになり、徹底的に買い叩かれて、限界利益がゼロになる水準まで価格が下がってしまうのが、資本主義の原理です。

 

 

そして、本書で発信している最も重要なメッセージが、「コモディティ化は部品の世界だけの話ではなく、労働市場における人材の評価においても、同じことが起きている」ということです。

 

 

こうした「コモディティ化」の潮流が、世界中のあらゆる産業で同時に進行している、というのが本書における著者の指摘です。

 

 

私は、「コモディティ化」は、モノづくりでは、「デジタル化」による瞬間的にコピーできてしまう技術革新によって起き、ヒトによるサービスでは、グローバル化による人材の世界レベルでの流動化が引き起こした、と考えています。

 

 

1980年代に起こったウィンドウズ革命とベルリンの壁崩壊が、モノとヒトの「コモディティ化」を決定的にしたのではないか、と思っています。

 

 

そうした世界の大きな潮流の中で、日本人で「生き残る4つのタイプ」と、「生き残れない2つのタイプ」を明らかにしています。

 

 

まず、「生き残れない2つのタイプ」とは以下の通りです。

 

 

◆ トレーダー; 商品を遠くに運んで売ることができる人

 

◆ エキスパート; 自分の専門性を高めて、高いスキルによって仕事をする人

 

 

 

一方、「生き残れる4つのタイプ」とは、次のような人です。

 

 

◆ マーケター; 商品に付加価値をつけて、市場に合わせて売ることができる人

 

◆ イノベーター; まったく新しい仕組みをイノベーションできる人

 

◆ リーダー; 自分が起業家となり、みんなをマネージ(管理)してリーダーとして行動する人

 

◆ インベスター=投資家; 投資家として市場に参加している人

 

 

一見すると、営業力を持っているトレーダーや、専門性を磨くエキスパートは、生き残れるタイプと思われがちですが、それは従来までの話です。

 

 

インターネットの普及によって、人々の購買行動が変わったり、近年は産業構造の変化が激しいためにせっかく身に付けた専門性もあっという間に陳腐化してしまうなど、生き残りが難しくなっている、ということです。

 

 

本書の後半では、「生き残る4つのタイプ」について、それぞれ詳しい考察を行って説明していますが、興味ある方はぜひ、本書をお読みください。

 

 

また後半部分では、リベラルアーツの重要性についても、分かりやすく著者の見解を紹介しています。

 

 

リベラルアーツでは、人類が歩んできた歴史や、過去の叡智の結晶である哲学、芸術や文学、自然科学全般について勉強します。

 

 

つまり、幅広い学問領域を横断的に学ぶことにより、「物事をさまざまな角度から批判的に考察する能力」「問題を発見し解決する能力」「多様な人々とコミュニケーションする能力」「深い人格と優れた身体能力」などを身につけるのです。

 

 

そして本書の最後で、「人生は短い。戦う時は今だ。」と、読者に呼び掛けています。

 

 

あなたも本書を読んで、現代の資本主義社会を生き抜く武器を手に入れませんか。

 

 

 

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では、今日もハッピーな1日を

 

 

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