書評ブログ

『ベストセラーコード 「売れる文章」を見きわめる驚異のアルゴリズム』

「ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラー入りした作品はたまたま売れたわけではないし、市場は一般に言われるほど予測不能というわけではない」と提唱している本があります。

 

 

本日紹介しているのは、フリージャーナリストジョディ・アーチャーさんとネブラスカ大学准教授マシュー・ジョッカーズさんが書いた、こちらの書籍です。

 

 

ジョディ・アーチャーマシュー・ジョッカーズ『ベストセラーコード 「売れる文章」を見きわめる驚異のアルゴリズム』(日経BP社)

 

 

この本は、コンピューター・モデルに原稿を読ませて、数千という特徴を調べさせた結果、ヒットする小説には特有のパターンがあること、そして、そこには読者や読書と結びつけて語る価値があることが分かったために書かれました。

 

 

「ベストセラーは気まぐれだ」と多くの人は言い、『ハリーポッター』のJ・K・ローリングもブルームズベリーから出版が決まるまで12社に断られている、ということです。ジョン・グリシャムも少なくとも16社から断られました。

 

 

「売れる本のなかにパターンや傾向、規則性を探そうとするのは無意味だとまでは言わないが、理解に苦しむ行為だ」という大学教授の声もある中で、本書では敢えて、コンピューターが小説を読み、ニューヨーク・タイムズのベストセラー入りする本の秘密を見つけることにしたものです。

 

 

 

本書は以下の7部構成から成っています。

 

 

1.ベストセラーメーター テキスト・マイニングは出版を変えるか

 

2.代父母 日常の何気ない時間を大切にする

 

3.センセーション 完璧なカーブをどうやってつくるか

 

4.デビュー 句読点は語る

 

5.ノワール 「ガール」は何を求めているのか

 

6.1冊を選ぶ アルゴリズムがウィンクするとき

 

7.機械が小説を書く なぜ作家でなければだめなのか

 

 

 

この本では、ヒット小説500冊と、それ以外の売れていない小説4,500冊計5,000冊の小説を、2万種類もの文章の特徴についてデータ分析した結果、以下のような結論が得られました。ヒットした小説の特徴は以下の通りです。

 

 

◆ トピックは「弁護士と法律」、「アメリカのチームスポーツ」、「家庭生活」、「母親としての役割」

 

◆ 文体では、can’t や I’d などの省略形が多く、感嘆符(!)は使わない

 

◆ シンプルな言葉、例えば ask や say を使う

 

◆ need、want、do、think、smile、reach など、主体性の高い動詞の頻度が多い

 

 

つまり、アメリカでベストセラー小説を書きたいのであれば、「現実的な舞台で、1つのテーマにフォーカスし、口語体で主体的な主人公を描く」ことを意識すべきだ、ということになります。

 

 

こうした分析は、出版ビジネスにおいても活用が可能で、例えば、作家や編集者が「読者のどんなニーズに答えて書くべきか」を議論する際に、客観的なデータとして参考になるでしょう。

 

 

もちろん本書の分析結果はあくまでも過去の小説を確率論で分類したもので、未来の予測について確かな答えを導いているわけではありません。

 

 

しかしながら、本書を読めば、「売れる文章」を見極める、一つのヒントになることも確かでしょう。あなたも本書を読んで、ベストセラーの特徴を意識して書くようにしてみませんか。

 

 

私、大杉潤は、「まちの本屋」再生プロジェクトとして、クラウドファンディングにより、読書交流会トークショー・イベントを開催しています。

 

 

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では、今日もハッピーな1日を

 

 

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