「衰退した観光地」の代名詞となっていた熱海はなぜ再生できたのか、Uターンしてゼロから街の再生に取り組んだ著者の経験や手法を可能な限り公開し、人口減少時代に魅力ある地域づくりのあり方が見えてくる本があります。
本日紹介するのは、1979年静岡県熱海市生まれ、東京都立大学大学院理学研究科(物理学)修了、IBMビジネスコンサルティングサービスに勤務、2007年に熱海にUターンし、ゼロから街の再生に着手、現在は株式会社machimori代表取締役、NPO法人atamista代表理事の市来広一郎さんが書いた、こちらの書籍です。
市来広一郎『熱海の奇跡』(東洋経済新報社)
この本は、ビジネスの手法を用いた「民間主導の」まちづくりというコンセプトで、熱海の街をリノベーションしてきた経験や具体的な手法を紹介している書です。
本書は以下の11部構成から成っています。
1.プロローグ ビジネスによる「まちづくり」があなたの街を再生する
2.廃墟のようになった熱海
3.民間からのまちづくりで熱海を再生しよう
4.まちづくりは「街のファンをつくること」から
5.街を再生するリノベーションまちづくり
6.一つのプロジェクトで変化は起き始める
7.街のファンはビジネスからも生まれる
8.事業が次々と生まれ育つ環境をつくる
9.ビジョンを描き「街」を変える
10.多様なプレーヤーがこれからの熱海をつくる
11.エピローグ 都市国家のように互いに繁栄を
この本の冒頭で著者は、50年間の衰退を経験した熱海が、民間主導で「クリエイティブな30代に選ばれる街になる」というビジョンを掲げ、「リノベーションまちづくり」という手法で、シャッター通り商店街をあたらしい街に再生してきた、と述べています。
そして日本全国の多くの地方都市と同様、地方の衰退は人口減少よりも街の魅力の乏しさこそ問題だ、と説明しています。
続いて、50年にわたる熱海の衰退の経緯と、2010年代にゼロからのまちづくりで熱海の再生を行う取り組みが具体的に紹介されています。特に注目すべき取り組みや他の地方都市でも活用できるポイントは以下の通り。
◆ まちづくりは「街のファンをつくること」から
◆ 地元の人の満足度を上げ、観光客の満足度を上げる
◆ 街を再生するには「何かにチャレンジしたい場所」にすること
◆ まちづくりの目的はエリア価値の向上
◆ まずカフェをオープンして、サードプレイスやまちづくりの拠点とする
◆ 街のファンをつくる
◆ スモールエリアでエリア価値を上げていく
◆ クリテイティブな30代が自ら仕事や暮らしを作っていく
◆ リノベーションスクールで街の不動産オーナーがリスクを取って始動
◆ 起業家が生まれ育つ環境で、起業の連鎖
◆ 行政も巻き込んだ多様なプレーヤーに
◆ たった一人からでも街は変わる、社会は変わる
あなたも本書を読んで、衰退した温泉街だった熱海がいかに活気を取り戻したのか、その再生のコンセプトを学んでみませんか。
2020年8月11に、YouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』【第153回】地方創生のモデル「熱海の奇跡」にて紹介しています。
毎日1冊、ビジネス書の紹介・活用法を配信しているYouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』の「紹介動画」はこちらです。ぜひ、チャンネル登録をしてみてください。
では、今日もハッピーな1日を!【2396日目】