書評ブログ

『AIに使われる人、AIを使いこなす人』

「現在のAIは、プロメテウスがもたらした『火』に匹敵する存在です。この技術をどのように利用していくかを目先のビジネスの視点からだけではなく、長期の人類の歴史の始点から検討していく事が重要です。」と述べている本があります。

 

本日紹介するのは、1942年生まれ、1965年東京大学工学部卒業、工学博士、名古屋大学教授、東京大学教授などを経て東京大学名誉教授、2002-03年総務省総務審議官で、コンピューター・グラフィックス、人工知能、仮想現実などを研究している月尾嘉男さんが書いた、こちらの書籍です。

 

月尾嘉男『AIに使われる人、AIを使いこなす人 情報革命に淘汰されないための21の視点 』(モラロジー道徳教育財団)

 

この本は、農業社会、工業社会、情報社会と生活環境を変遷させてきた人類が、最後の情報社会について、その情報技術の異常とも言える変化によって方向転換を開始している意味長期の視点から考察している書です。

 

 

本書は以下の5部構成から成っています。

 

1.情報から情緒へ

2.画一から多様へ

3.無縁から創縁へ

4.時間消費から時間貯蓄へ

5.未来から現代へ

 

この本の冒頭で著者は、「実行すべきことは高度な人工知能が実施できることは人工知能に実行させ、その結果、余裕ができた時間に人間しかできないことを実行するという戦略です。」と述べています。

 

 

本書の前半では、「情報から情緒へおよび「画一から多様へついて、以下のポイントを説明しています。

 

情報革命を踏破するには「情報」より「情緒」をめざす視点が大切

◆ 情緒を対象とする仕事は人間の聖域でAIでは代替できない

◆ キーワードは「共感」と「多様」、物語の価値

◆ 環境に「過剰適合」する悲劇

 

◆ 画一から多様へ、インクルージョンがカギ

◆ 日本はロボットと共生できる強みを生かす

◆ 周囲に気配りできる力が価値を持つ、「ナッジ」の力

◆ 欲望を減らして幸福になる選択

 

 

この本の中盤では、「無縁から創縁へ」および「時間消費から時間貯蓄へ」について解説しています。主なポイントは次の通りです。

 

◆ 血縁(狩猟)、地縁(農耕)、職縁(工業)、通縁(情報)、創縁(AI)の変遷

◆ 職縁が切れて「無縁」が急増している

◆ 通縁の時代に情緒的出会い、関係人口などの「創縁」

◆ AIがもたらす分類不能な2%の仕事に注目

 

◆ AIが生み出す「余裕時間」で幸福を増やす

◆ ネット社会で「時間貧困」になる人々(サブスクの影響)

◆ 情報技術が与えた「自由時間」をどう役立てるかが「創縁」と並ぶ幸福のポイント

◆ ワークとリクリエーションを合成した「ワークリエーション」

 

 

本書の後半では、「未来から現代へについて考察しています。主なポイントは以下の通り。

 

◆ 未来から現在を計画する「バックキャスティング」の視点

◆「共有」と「中庸」が価値になる時代

◆ 未来に進行できないときは、伝統文化を見直すこと

◆ 日本が先導する「ソフトパワー」を戦略に

◆ AIで解決できない課題がある 

 

 

あなたもこの本を読んで、情報革命に淘汰されないための21の視点を学び、「AIを使いこなす人」になっていきませんか。

 

 

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では、今日もハッピーな1日を!【3244目】