書評ブログ

『アドラーに学ぶ 70歳からの人生の流儀』

「現役でできるだけバリバリと働くよりも、あなたの貢献できる分野で、あなたを待っている人のためにささやかに役に立てれば、それはそれで幸福ではありませんか。」と述べて、「生涯貢献」を志している本があります。

 

 

本日紹介するのは、1947年栃木県生まれ、早稲田大学卒業後、外資系企業の管理職などを経て、1985年にヒューマン・ギルドを設立し、アドラー心理学に基づくカウンセリンング、カウンセラーの養成をしてきたアドラー心理学カウンセリング指導者上級教育カウンセラー岩井俊徳さんが書いた、こちらの書籍です。

 

 

岩井俊徳『アドラーに学ぶ 70歳からの人生の流儀』(毎日新聞出版)

 

 

この本は、アルフレッド・アドラー生誕150周年の年に、シニア向けに書かれた書で、「生涯貢献」を志す人が増え、その人らしさの輝きを帯びて「生涯現役」の機運が高まることを願って書かれたものです。

 

 

 

本書は以下の5部構成から成っています。

 

 

1.「老いの呪い」なんて解いてしまおう

 

2.人生の秋をほがらかに生きる

 

3.人間関係はほどほどがいい

 

4.うまく愛し、愛される

 

5.だらかな坂をゆるゆるのぼる

 

 

 

この本の冒頭で著者は、アドラー心理学の創始者・アルフレッド・アドラー「人生の意味は貢献である」という言葉を紹介しています。

 

 

 

この言葉は、『人生の意味の心理学<上>』(岸見一郎訳・アルテ)によれば、「あらゆる課題は、人間社会の枠組みの中で、人間の幸福を促進する仕方で克服されなければならない。人生の意味は貢献である、と理解する人だけが、勇気と成功の好機を持って、困難に対処することができる」と著書に記されているものです。

 

 

 

本書の前半では、老いることを何かの呪いのようにとらえている思い込みを解きほぐしアドラー心理学「ライフタスク」(人生の課題)と呼んでいる中の「仕事(社会貢献)」について解説しています。ポイントは次の通り。

 

 

◆ 65歳から人生の本番が始まる、別の人生を創り出すリクリエーションだ

 

◆ 変化を嫌う現状維持は不健全な自己肯定感

 

◆ 時々自分を棚卸ししてみる

 

◆ 若さを保つには、様々な場に繰り出す、定期券を買って外に出よう

 

 

 

◆ 不安の9割以上は起こらない

 

◆ アドバイスに謙虚であれ

 

◆ 一人の意見のためにすべてを変える必要はない

 

◆ 「過去に起きた事実はやむを得ないことだった」と、ただ受け止めてみる

 

 

 

◆ 卒業は、graduation(グレイドが一段上がること)、commencement(始まり)で、「終わり」ではない

 

◆ どんな性格も「強み」として生かすこと

 

◆ 前向きな口ぐせで自信をつける

 

◆ 人生は楽観主義がうまくいく

 

 

 

この本の中盤では、「ライフタスク(人生の課題)」のうち、「交友(人間関係)」「愛(親密な関係)」について、以下の通りポイントを説明しています。

 

 

◆ 健全な「面従腹背力」を身につける

 

◆「混乱技法」と呼ばれる「ビックリメソッド」を試してみる

 

◆「おめでとう」と「ありがとう」は人付き合いの最強フレーズ

 

◆ 夫婦会議の時間を設ける

 

 

ビックリメソッドのエピソードは、こちらの本に紹介されています。

 

 

 

 

◆ よりよい夫婦関係には「相互尊敬・相互信頼」

 

◆ 言葉はそのうち本物になる

 

◆ 夫婦は腹に3割の含みがあってうまくいく

 

◆ 夫婦の形は千差万別、型にとらわれず柔らかく考える

 

 

 

本書の最後で著者は、誰にでも「死ぬまでに果たす使命」があり、自分はなんのために生まれてきたのかという「人生の目的」を考えてみようと説いています。

 

 

 

つまり、死ぬことを考えることは生きることを考えること死を意識すれば自分には何ができるのかに気持ちを向けられるようになる、と著者は言います。

 

 

 

年齢など関係なく、人はいろいろなことができるので、死ぬその時まで、誰かの、何かの役に立つ存在でいたいという使命感を持ちましょう、と著者は説いています。

 

 

 

最後に、なだらかな坂をゆるゆるのぼるコツとして、この本では以下のことを挙げています。

 

 

◆ ないのは居場所ではなく居場所感

 

◆ 誰かと接点を持つだけでいい

 

◆ 大きな決断のポイントは「さわやか」かどうか

 

◆ 計画から大きくそれたことで人生の味わいが増す

 

 

 

◆ 人生にはどこかで一貫した流れがある

 

◆ 大きな流れに身を任せるような感覚で、偶然を楽しむ

 

◆ 自分は「中継者」だという発想を持つ(次の世代にバトンタッチする)

 

◆ 受け継いだら「きちんと走る」ことだけ考えればいい(スタートやゴールは問題ではない)

 

 

 

本書の締め括りとして著者は、「環境のせい」「できない」「限界があり不可能」を、「自分が主人公」「できる」「やや制限があっても可能性がある」に変化していくことを想定して、アドラー心理学をベースに本書を書いた、と述べています。

 

 

 

そして、アドラーの次の言葉『アルフレッド・アドラーの個人心理学』(ハインツ&ロウェナ・アンスバッハー編著・未邦訳)から引用して紹介しています。

 

 

「彼ら(老人たち)が働いたり、努力したりする機会にもっと恵まれていれば、もっと多くのことが成し遂げられるであろうし、際限なく幸福でいられるはずだ。誤った社会習慣のせいで、老人たちがまだまだ活動できるにもかかわらず、私たちは、彼らをしばしば棚の上に置いてしまっている。60歳、70歳、それどころか80歳の年齢だからといって、老人に決して引退をすすめてはならないのである」

 

 

 

やはり「生涯現役」が目指すべき生き方だと、改めて確信をさらに強くした言葉です。

 

 

 

あなたも本書を読んで、アドラー心理学の底流に流れる「70歳からの人生の流儀」を学んで実践してみませんか。

 

 

 

2020年4月15日に、YouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』、今日は【第65回】アドラーに学ぶ70歳からの「人生の流儀」にて紹介しています。

 

 

 

 

 

毎日1冊、ビジネス書の紹介・活用法を配信しているYouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』の「紹介動画」はこちらです。ぜひ、チャンネル登録をしてみてください。

 

 

 

 

では、今日もハッピーな1日を!