超高齢化社会を迎える日本で、長生きすることは本当に幸せなのか?誰もが避けることのできない「老い」や「死」について考えるヒントになる本があります。
本日紹介するのは、波瀾万丈の人生を送ってきた95歳の作家、瀬戸内寂聴さんに、ジャーナリストの池上彰さんが「老後の心構え」について聞いた、こちらの新刊新書です。
瀬戸内寂聴・池上彰『95歳まで生きるのは幸せですか?』(PHP新書)
この本は、分かりやすいニュース解説で第一人者の池上彰さんと、51歳の時に出家し、95歳の現在も現役の作家として活躍する瀬戸内寂聴さんによる本音の対談をまとめた書です。
テーマは、世界経済、国際関係、こどもの教育から、「老い」や「死」、そして人間の煩悩や弱さなど、幅広く示唆に富む内容です。
本書は以下の6部構成から成っています。
1.歳をとってわかったこと(瀬戸内寂聴)
2.「トランプ大統領で、日米関係はどうなりますか?」(寂聴さんが池上さんに聞きました)
3.「長生きは幸せですか?」(池上さんが寂聴さんに聞きました)
4.「男たちはなぜ、恋も革命もしなくなったのでしょう?」(寂聴さんが池上さんに聞きました)
5.「子どもたちはなぜ、自ら命を絶つのでしょう?」(池上さんが寂聴さんに聞きました)
6.「老い方」のレッスンを始めませんか?(池上彰)
この本の冒頭で瀬戸内寂聴さんは、「本当の老後は88歳からやってくる」と述べています。88歳以降は、何度も入院や寝たきりを繰り返した自身の体験から、人に迷惑をかけてしまい、長生きし過ぎたと感じている、と言います。
ただ、人は自分の人生さえ、自分の思うままにならない、と述懐しています。次に、出家について述べていて、出家していない在家の信者も含めて守るべき基本的な5つの決まりである「五戒」の意味を、以下の通り紹介しています。
◆ 殺してはならない
◆ 盗んではならない
◆ 邪淫してはならない
◆ 嘘をついてはならない
◆ 酒を飲んではならない
さらに寂聴さんは、断食や病気、東日本大震災でのボランティア活動、さらに「死」についても語っています。自らの波瀾万丈の人生経験をベースにした話は重みがあります。
とくに深く感銘を受けた言葉を次に記しておきます。
◆ 老人らしく生きる必要はない、自分らしく生きよう
◆ いただいた命だから、大切に生きる
◆ ひとりじゃない、縁に生かされている
◆ 長生きが「おめでたい」と言えない社会
◆ 老いを自覚し、引き際を考えるとき
◆ 「あの世のガイドブック」があれば怖くない
◆ 仏様が煩悩から守ってくれる
また、池上彰さんは、国際情勢について、分かりやすく解説をした後、最後に「老いのレッスン」として、超高齢化社会に突入した日本の課題を整理して述べています。
私も全く同感と感じている論点は以下の通りです。
◆ 高齢者が爆発的に増える「2025年問題」に向き合う
◆ 平均寿命より健康寿命に注目
◆ 団塊の世代が、これからも日本を動かす
◆ 長生きすることで問題になってきた認知症
◆ 自治体による「コンパクトシティ」の試み
◆ 葬式仏教から生きるための仏教へ
◆ シニアからの積極的な情報発信の増加(「90歳」の境地を知りたい)
◆ 老いや死を意識して直面することで宗教や哲学が面白くなる
この本の最後で池上さんは、寂聴さんによる「いただいた命」という言葉を、改めて紹介しています。いただいた命ならば、いつかはお返ししなければならない、ということです。
あなたも本書を読んで、「老いのレッスン」を受けて、「老い」や「死」について、改めて考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を