「年相応を受け入れることが、幸せな老いの第一歩である」――そんな深い洞察から始まり、60歳以降の「心の持ち方」を静かに導いてくれる一冊があります。
本日紹介するのは、1938年東京生まれ、東京大学教養学部卒業後、同大学大学院社会学研究科修士課程修了。早稲田大学教授を経て名誉教授、ハーバード大学ライシャワー研究所客員研究員を歴任。半世紀以上にわたりニッポン放送「テレフォン人生相談」のパーソナリティを務め、人々の悩みと真摯に向き合ってきた社会心理学者・加藤諦三(かとう・たいぞう)さんが書いたこちらの書籍です。
加藤諦三『60歳から慕われる人、疎まれる人』(ビジネス社)
この本は、仕事や子育てといった「現役の肩書き」を離れた60代以降の人々が、家族や社会との関わりをどう再構築し、“慕われる生き方” を実現するかを心理学的に説いた一冊です。
「尊敬されなくなった」「必要とされていない」と感じる孤独は、心の持ち方を変えることで解消できる――著者は数多くの人生相談を通じて、その事実を明らかにしています。
本書は以下の8部構成から成っています。
1.年相応を嫌がらない
2.なぜ無理して生きてきたか
3.「ごまかしの人生」にさよなら
4.「心の癌」を早期発見
5.死を恐れない人々に学ぶ
6.お金を貯めるより仲間を作る
7.歪んだプライドを捨てる
8.目の前の現実をきちんと見る
エピローグ 馬鹿なまねをして早死にしない
本書の前半では、「年相応を嫌がらない」および「なぜ無理して生きてきたか」について解説しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 「若さ」への執着を手放し、“今の自分”を素直に受け入れる
◆ 人は“無理して頑張ること”でしか自分を保てない時期がある
◆ 他人に認められるための生き方から、自分を大切にする生き方へ
◆ 「過去の自分」と比べないことで、心の平穏を取り戻せる
◆ 年齢を重ねるとは、“できること”よりも“味わえること”を増やすこと
この本の中盤では、「『ごまかしの人生』にさよなら」「『心の癌』を早期発見」および「死を恐れない人々に学ぶ」について、“老いの心理的危機” を克服する方法が語られます。主なポイントは次の通りです。
◆ ごまかしてきた “心の欠落” が、老後に表面化する
◆ 「怒り」「不満」「孤独」は、心のSOSとしてのサイン
◆ 心の癌とは、「他人を責めて自分を見ない」習慣
◆ 他人を変えようとするより、自分の心の反応を変えることが大切
◆ 幸せは、心の整理整頓から始まる
本書の後半では、「お金を貯めるより仲間を作る」および「歪んだプライドを捨てる」というテーマのもと、60歳以降を心豊かに生きるための実践法が示されています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 人間関係は “損得” ではなく “気持ちのやりとり” が大切
◆ 仲間は「助け合う存在」ではなく、「分かち合う存在」
◆ プライドを手放すと、素直に「ありがとう」と言えるようになる
◆ 死を恐れない人ほど、今を充実して生きている
◆ 慕われる人は、他人の話を「評価せずに聴ける人」である
本書の魅力は、心理学者としての理論よりも、ラジオ相談の現場で聞いてきた “生身の声” に裏打ちされたリアリティにあります。
「老い」は避けられないが、「孤独」は選択できる――。その覚悟を持てる人ほど、人に慕われ、人生の後半を豊かに過ごせることを著者は教えてくれます。
年齢を重ねるほどに問われるのは、「どんな肩書きを持つか」ではなく、「どんな人として記憶されるか」。
この本は、60歳からの “心のリーダーシップ” を取り戻すための心理の教科書です。
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では、今日もハッピーな1日を!【3896日目】










