今ある資産を有効に使っていくために必要なのは、「資産を取り崩しながら、同時にその寿命を伸ばしていく」、すなわち「資産活用」の技術です、と述べている本があります。
本日紹介するのは、1959年生まれ、一橋大学商学部卒、山一証券経済研究所、同ニューヨーク事務所駐在、メリルリンチ証券東京支店調査部長を経て、フィデリティ投信入社、投資教育研究所所長を経て、2019年5月定年を機に合同会社フィンウェル研究所を設立、金融審議会市場ワーキンググループ委員、同審議会顧客本位タスクフォース委員で、合同会社フィンウェル研究所代表の野尻哲史さんが書いた、こちらの書籍です。
野尻哲史『60代からの資産「使い切り」法』(日本経済新聞出版)
この本は、退職後のお金との向き合い方、または「資産活用」に対する理解不足を補い、「資産の取り崩しの多様な方法とその有効活用で、今ある資産の寿命を延命できる」ことを伝えてくれる書です。
本書は以下の9部構成から成っています。
1.資産形成を終えた人に
2.「資産活用」世代の実態
3.リタイアメント・インカムとは?
4.「毎月10万円の引き出し」はなぜキケンなのか?
5.引き出しは「率」で考える
6.保有する資産全体のなかで取り崩しを考える
7.資産活用層は新NISAをどう使う?
8.生活スタイルと資産活用
9.資産活用層の社会貢献
この本の冒頭で著者は、「私自身も60代になって、本当に思い至るのは、これから自分に大切なことは『資産を増やす』のではなく、『より満足度の高い生活を送るために、今ある資産を有効に使っていく』ということです。」と述べています。
本書の前半では、「資産形成を終えた人に」「資産活用世代の実態」および「リタイアメント・インカムとは?」ついて、以下のポイントを説明しています。
◆ 今ある資産の寿命を延ばす「資産活用」が需要
◆ 生活費=勤労収入+年金収入+資産収入(リタイアメント・インカム)
◆ 資産水準の満足度を上げるだけで、生活満足度が変わる
◆「老後2000万円問題」の後遺症がある
◆ 現役時代の山登りである資産形成、退職後の時代の山下りである資産活用
◆ 勤労収入、年金収入、資産収入の3つの収入のバランスを考える
◆ 3つの収入のうち、最も柔軟性のある「資産収入」をどう増やすか
◆「勤労収入<生活費」= 退職
◆ 退職したら積立投資は卒業、だが資産運用は継続
◆ 地方都市移住による生活費削減
◆ 生活費は落としても生活水準は落とさない方法
◆ 退職世代には「繰り下げ受給」しか年金を増やす方法はない
◆ 資産収入は柔軟性が高いだけに難しい(下山ルート選択の重要性)
この本の中盤では、「毎月10万円の引き出しはなぜキケンなのか?」「引き出しは率で考える」および「保有する資産全体のなかで取り崩しを考える」ついて解説しています。主なポイントは次の通りです。
◆ 定額引き出しに潜む「収益率配列のリスク」
◆ 引き出し額を「率」で考える戦略 =「定率引き出し」
◆ 4%という「持続可能な引出率」
◆ 退職後の前半は「使いながら運用する時代」
◆ 引き出し率を徐々に上げる「予定率引き出し」
◆ 100歳から遡る「逆算の資産準備」の考え方
◆ 退職が近づいてもリスク資産の比率を下げる必要はない
◆ バッファー資産を活用する
本書の後半では、「資産活用層は新NISAをどう使う?」「生活スタイルと資産活用」および「資産活用層の社会貢献」について考察しています。主なポイントは以下の通り。
◆ 新NISAに期待するのは資産形成の拡大
◆「スイッチングができない」という新NISAの弱点
◆「65歳ー80歳」「81歳ー100歳」に分けて考える
◆ 超高齢社会はアドバイザー必須の時代に
この本の締めくくりとして著者は、もう少し厳密に「資産活用」を定義すると、以下の4点になる、と述べています。
1.生活費をコントロールする
2.長く働く
3.年金を効率的に受け取る
4.運用しながら資産を効率的に引き出す
あなたも本書を読んで、今ある資産の寿命を延ばす賢い「取り崩し」の技術である「資産活用」の技術を学び、60代からの資産「使い切り」法を実践してみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【3222日目】