書評ブログ

『30ポイントで身につく!「マーケティング思考」の技術』

「マーケティング思考を身につけることは今や必須のことであり、それなくしてあなたの成長も、会社への貢献も、まして所属する会社の成長もありえません。」と述べている本があります。

 

 

本日紹介するのは、1993年設立の「使えるコンサルティング」「実効性のある研修」を柱としたコンサルティング・グループである株式会社HRインスティテュート著、野口吉昭監修による、こちらの書籍です。

 

 

株式会社HRインスティテュート野口吉昭『30ポイントで身につく!「マーケティング思考」の技術』(PHP研究所)

 

 

この本は、一部のマーケティング担当者だけが備えるべきスキルではなく、誰にでも求められる「マーケティング思考」について解説した書です。

 

 

 

本書は以下の5部構成にて、合計30のポイントから成っています。

 

 

1.マーケティング思考とは?

 

2.マーケティング思考を仕事に活かす

 

3.マーケティング三つの思考 ①お客様を「知る」

 

4.マーケティング三つの思考 ②価値を「創る」

 

5.マーケティング三つの思考 ③舞台を「仕組む」

 

 

 

この本の冒頭で著者は、マーケティング思考とは、「顧客が数ある選択肢の中から、あなたの会社の商品やサービスを選ぶ理由を考えること」という定義を紹介しています。

 

 

もっと端的に言えば、「売れる仕組みをつくる」思考です。そして、マーケティング思考の必要性が分かれば、まずやるべきことは、「強味」とその強みを生み出す「独自の源泉」を見出すことだ、と著者はいいます。

 

 

 

独自の源泉とは、例えば次のようなものです。

 

 

◆ 便利な場所(立地)

 

◆ 低価格(低コスト)

 

◆ 安定した品質

 

◆ 機能性に優れた製品

 

◆ 信頼できるブランド

 

◆ 豊富な知識

 

◆ 親切な対応

 

 

つまり、他の選択肢(他社)にはない自社の生み出すもの、それが「独自の源泉」で、これが競争優位のポジションを実現します。

 

 

事例として、ヤマト運輸の「物流ルート」や「セールスドライバー」、そして日東電工の基幹技術「粘着技術(貼る)」と「塗工技術(塗る)」独自の源泉として紹介しています。

 

 

日東電工は、この2つの基幹技術を使って新しい事業を生み出すための「三新活動」全社員で実施しています。「新」用途開発「新」製品開発に取り組むことで「新」しい需要を創造する、というのが「三新活動」です。

 

 

日東電工の「三新活動」や人材育成については、こちらの記事も参照してみてください。

 

https://bit.ly/2RzBREj

 

 

そうすることで同社は、エレクトロニクス分野、自動車関連分野、住宅建材分野、一般工業関連、環境関連、ヘルスケア関連と、多岐にわたる事業を展開しています。

 

 

 

次に本書では、「マーケティング思考」の3ステップを以下の通り、挙げています。

 

 

1.知る: お客様を知る、自社を知る、競合を知る

 

2.創る: 価値を創る、製品(サービス)を創る

 

3.仕組む: 広告を仕組む、流通を仕組む、売り場を仕組む

 

 

 

マーケティングの目的は「儲ける」ことですが、それが一過性のものでは意味がなく、継続して収益を上げ続けるためには、次の3つを満たすことが重要だ、と著者は指摘しています。

 

 

◆ 顧客(社会)の満足の実現

 

◆ 社員の満足の実現

 

◆ 適正な利益の実現

 

 

 

続いて、マーケティング思考の最新トレンドとして、以下の事例を紹介しています。

 

 

◆ 千葉県流山市の「子どもを育てやすい街」というブランド戦略

 

DEWKS(子育てする共働き世代)をターゲットに、「流れ山おおたかの森駅」「送迎保育ステーション」で子育て層の流入で人口が増加

 

詳細は、こちらの流山市サイト: http://www.city.nagareyama.chiba.jp/life/1001107/1001188/index.html

 

 

 

◆ バルミューダ社のグリーンファン

 

「最小で最大を」という理念で、消費電力20分の1、耳で認識できない静音性、自然の風に近い風、洗練されたデザインで、37,800円

 

詳細は、こちらのバルミューダ社サイト: https://www.balmuda.com/jp/greenfan/

 

 

 

その他にも、MITメディアラボにてニコラス・ネグレポンテが立ち上げたOLPC(One Laptop Per Child)プロジェクトなどの事例も取り上げています。

 

 

 

また、フィリップ・コトラーが提唱するマーケティングの変遷を以下のように整理しています。

 

 

1.マーケティング1.0 製品の時代(T型フォードの大量生産)

 

2.マーケティング2.0 情報の時代(情報発信、One To One マーケティング)

 

3.マーケティング3.0 価値の時代(物質的な欲求から本質的な精神的欲求へ)

 

 

 

したがって、マーケティングは常に変化を先読みし、自ら変化することが求められます。現在のマーケティング3.0の代表的なアプローチが「ソーシャル・マーケティング」で、社会的課題の解決のために、人々の行動に焦点を当て、行動を変えるためのマーケティングです。

 

 

事例として、マラリアを防ぐ蚊帳張り、がん検診の受診、水の浄化などのキャンペーン活動があり、NPOやNGOなどの非営利団体が取り組んでいます。

 

 

企業もこうしたアプローチを活用し、「コーズ・マーケティング」と呼ばれる手法で、企業と消費者とのソーシャル・マーケティング活動を通して社会的課題の解決を目指す手法です。

 

 

ミネラルウォーターのボルヴィックが行った「1リットル for 1リットル」プロジェクトがよく知られています。期間限定で、ボルヴィックの水1リットル購入分に対して、10リットル分の奇麗で安全な水がユニセフを通じてアフリカの国に届けられるというキャンペーンです。

 

 

2005年にドイツで始まり、2006年にフランス、2007年に日本で展開されましたが、日本での売上は前年比134%と増加しました。

 

 

 

マーケティングは「競争」から「共創」の時代に入っており、「空想無印」という無印良品を展開する(株)良品計画のコミュニティサイト(「プロシューマー」という概念の人たちの誕生)や、IBMによる米国ルイジアナ州ニューオリンズ(ハリケーン・カトリーナによる大惨事)へのでスマートシティ(最新技術でエネルギー効率を高め、省資源化を徹底した環境配慮型の街)構想の提案、などの事例が、この本では紹介されています。

 

 

 

本書の中盤以降では、「マーケティング思考」を仕事に活かす方法を解説していて、そのためには日常生活で「何が売れているのか」「なぜ売れているのか」にアンテナを立て、世の中の需要の変化、企業側のマーケティングトレンドを掴むことが大切だ、としています。

 

 

 

例えば、これまでのヒット商品を振り返ってみると次の3つの仮説が立てられます。

 

 

1.隙間の時間(パズドラ、コンビニコーヒー)

 

2.まったく新しいモノ(ノンフライヤー、フリクション・ボールペン)

 

3.オフセット(相殺)の意識(トクホ:特定保健用食品)

 

 

 

次に、マーケティングの3ステップをそれぞれ詳しく解説していますが、詳細はぜひこの本を手に取ってお読みください。

 

 

 

主なポイントを用語だけ、以下に挙げておきます。

 

 

◆ セグメンテーションで顧客のターゲティングをする

 

◆ シンボリックターゲットを決める

 

◆ プロファイリングでお客様を「まるはだか」に

 

◆ 「〇〇といったら△△!」を実現するポジショニング(ナンバーワン、オンリーワンになる)

 

◆ マインドシェア(認知度)とハートシェア(好感度)を高める

 

 

◆ ニーズの下に隠れたウォンツを発掘して提供する(元に戻れない価値を提供)

 

◆ お客様が求めるベネフィット(価値)を提供

 

◆ コア・コンピタンスを活かし、バリュープロポジションを描く

 

◆ コンタクトポイントの多様化に対応したメッセージを

 

 

◆ AIDMAからAISASへ

 

◆ コミュニケーションを統合する

 

◆ コピーライティングに徹底的にこだわる

 

◆ ブランド、ロイヤルマーケティング

 

◆ ファンを増やす

 

 

 

この本は、マーケティングの基本と重要なポイントを全て網羅し、その変遷や最新のトレンドまで、初心者にも分かりやすく解説していて、且つ、「マーケティング思考」という切り口で、誰でも仕事やビジネス活動に活用できるノウハウとして整理されています。

 

 

マーケティング担当者はもちろん、それ以外のすべてのビジネスパーソンが「マーケティング思考」を身につけるのに最適な良書として、最も推薦したい本です。

 

 

あなたも本書を読んで、「マーケティング思考」を磨いてみませんか。

 

 

 

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では、今日もハッピーな1日を!