「アメリカほどの格差ではないとはいえ、日本でも、賃金は上昇しないのに、株価などの資産価格が上昇して、資産を持たない人たちの不満が政治に対する不満につながってきています。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、1974年東京都出身、京都大学理学部卒業、一橋大学大学院経済研究科博士課程修了(経済学博士)、1997年大蔵省(現財務省)入省後、大臣官房文書課法令審査官補、財務省財務総合政策研究所主任研究官、一橋大学准教授などを経て、2015年から法政大学経済学部教授の小黒一正さんが書いた、こちらの書籍です。
小黒一正『2050 日本再生への25のTODOリスト』(講談社+α新書)
この本は、「日本再生への25のTODOリスト」という形式で「対処方針のたたき台」を示し、「失われた30年」を取り戻して次の世代、さらにはその次の世代がこの国を再び活性化させるための、建設的な議論を喚起するために書かれた書です。
本書は以下の6部構成から成っています。
1.「日本病」の正体
2.日本を変える「三つの哲学」
3.「デジタル政府」で何ができるのか
4.本当に必要な社会保障改革
5.日本はまだまだ成長できる
6.「財政の安定化」から逃げてはならない
この本の冒頭で著者は、「日本は構造問題を解決できず、衰退の一途をたどっているー。そう断言しても何ら過言ではありません。」と述べています。
本書の前半では、「日本病の正体」および「日本を変える三つの哲学」について解説しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 日本のコロナ対策は政府の機能不全を象徴するもの
◆ コロナ対策の戦略や全体の方向性にミスがあった
◆ 問題の本質は、議論がデータなどの科学的な分析に基づいていないこと
◆ これ以上先送りできない問題の処方箋が必要
◆ スタグフレーションの恐怖
◆ 円安が招く物価上昇
◆ 日米金利差の悪夢
◆ 老化と高齢者貧困が進む日本
◆ 介護難民があふれる「2025年問題」
◆ 日本を蝕む3つの病(➀人口減少、②貧困化、③低成長)
◆ 改革に必要な3つの哲学(➀大きなリスクは共助、小さなリスクは自助、②保険と税の機能を切り分ける、③経済成長と社会保障機能の自動調整メカニズム)
◆ 國がやるべきことと、民間・個人がやるべきことの線引きを行う
この本の中盤では、「デジタル政府で何ができるのか」および「本当に必要な社会保障改革」について考察しています。主なポイントは次の通り。
◆ デジタル政府の目的が理解されていない
◆ 低所得者に厳しい日本
◆ 政府が国民の所得状況を把握できていないから再分配が機能しない
◆ デジタル化で「国と地方の分担」が変わる
◆ 世界で進む所得のリアルタイム把握
◆「働き方の多様化」に対応できていない
◆ 税の処理を簡素化する
◆ プッシュ型行政サービスを
◆ 日本の不都合な真実「世代間格差」
◆ 高齢者の四人に一人が貧困転落
◆「高成長シナリオ」は実現しない
◆ 自分の年金状況を一元的に把握できる「年金ダッシュボード」
◆「医療版マクロ経済スライド」の導入で医療費の伸びを抑制
本書の後半では、「日本はまだまだ成長できる」および「財政の安定化から逃げてはならない」をテーマとして、以下のポイントを説明しています。
◆ 地方活性化の切り札「地方庁」
◆ 持続可能な社会のための「コンパクトシティ」
◆介護対象高齢者の集住による「ケア・コンパクトシティ」構想
◆「デジタル通貨」の発行で、商取引データを収集する仕組みを
◆「情報銀行」で競争力を取り戻す
◆「データ証券化」で遅れを取り戻す
◆ 教育格差縮小のために「所得連動型ローン」
◆「教育ポータルサイト」によって教育の質の向上を
◆「MMT」の落とし穴
◆ 日本経済の低成長は、財政の深刻な状況と直結
◆「インフレで赤字解消」は本当か
◆ GDPに現れる数字より日本経済のパフォーマンスは良好
この本の締めくくりとして著者は、「日本の将来を担うのは、これから生まれてくる次世代」「解決すべき最も重要な問題は人口減少の問題」と述べています。
あなたも本書を読んで、2050年に向けての「日本再生への25のTODOリスト」を学び、実践してみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2776日目】