「人を動かす新常識」を提唱している本があります。本日紹介するのは、ビジネスに役立つコンテンツに詳しい山口哲一さんが書いた、こちらの書です。
山口哲一『10人に小さな発見を与えれば、1000万人が動き出す』(ローソンHMVエンタテイメント)
この本は、エンターテイメント分野のプロデュースを行う著者の山口さんが、時代を変える3大変化を中心し、デジタルコンテンツの未来を予測した書です。
まず本書の冒頭で、時代を変えるポイントとして、以下の3つを挙げています。
1.コンテンツのクラウド化
2.モノのオンライン化
3.ソーシャルメディアの普及
それぞれインターネットの進化とデジタル化の進展により引き起こされた変化です。
まず、1番目の「コンテンツのクラウド化」により、ユーザーの行動が、「所有」から「利用」に変わりました。
2番目の「モノのオンライン化」は、リアル社会とネットが一体化しつつあるという変化をもたらしています。
また最後の「ソーシャルメディアの普及」により、ユーザーの意見や行動が可視化されました。
以上の3つの変化に伴い、あらゆる産業が、自らの役割や社会における意義を「再定義」し、ビジネススキームやノウハウを「再構築」する必要に迫られています。
コンテンツの「著作権」は塗り替えられ、リアルとバーチャルの融合が進み、ソーシャルメディアによるユーザー主導が進んでいます。
本書は以下の8部構成からなっています。
1.音楽は「ストリーミング」で聴く時代
2.変わるテレビ、変わらないテレビ
3.「コネクテッドカー」から「ロボットカー」へ
4.電子書籍は出版業界を「再定義」するか?
5.ニュースと新聞の行方
6.ウェアラブルデバイスとI o Tの衝撃
7.非オタクのためのUGM入門
8.コンテンツの価値を多様にとらえよう
とくに音楽プロデューサーでもある著者の「ストリーミング」への流れに対する音楽業界のあり方についての分析は秀逸です。
音楽ストリーミングサービスの Spotify(スポティファイ)が世界中で支持される、以下の4つのポイントは説得力があります。
1.完全に合法的な音楽サービスである
2.フリー(無料)とプレミアム(有料)を組み合わせた「フリーミアム」
3.SNSとの親和性の高さ
4.有料サービスへのコンバージョン率の高さ
パッケージが主役の日本の音楽市場では、残念ながらスポティファイの進出がまだ叶っておらず、世界から取り残されています。
しかし、今の音楽業界では、「複製」した商品をマネタイズするだけでなく、クラウド上のコンテンツに「アクセスする権利」を販売する、複製権とアクセス権を組み合わせたハイブリッド型の音楽ビジネスを再構築する必要があります。
また、音楽ビジネスには、ライブコンサートという「体験」をマネタイズする分野もあります。日本でもライブエンターテイメント市場は右肩上がりで伸びており、2014年は、コンサート入場料がCD総売上げを抜く、史上初めての年になりました。
ストリーミング、パッケージ、エンターテイメントの3つの分野を組み合わせた掛け算で、音楽業界には新たな可能性がみえる、と著者は言います。
次にテレビの「再定義」についても面白い変化が分析されています。携帯電話がスマートフォンに進化した過程を参考に、「スマートテレビ」への移行が進んでいます。
とくに、「クラウド型動画配信サービス」の Hulu については、音楽ストリーミングの Spotify と同様に大きく成長しそうです。
月額1,000円程度で1万本以上のコンテンツが見放題になるサービスは魅力です。
日本テレビの Hulu Japan 買収や今秋のネットフリックスの日本上陸により、テレビもストリーミング視聴がトレンドになる気がします。
そのほかにも、コネクテッドカーや電子書籍、ニュースの「再定義」など、本書では、変化の「予見」が精度も高く勉強になります。
さらに、今注目される I o T やウェアラブルデバイス(Apple Watch など)についても最新の動きが考察されています。
最後に本書でも参考にしている「予見」に関する書籍を以下に紹介します。
田坂広志『未来を予見する「5つの法則」』
あなたも本書を読んで未来を「予見」してみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!