「運用しながら使う」ことで資産寿命を伸ばす──そんな発想で、物価高や相場急落といった“退職後のまさか”にも備えられる、新たな資産戦略を提案する本があります。
本日ご紹介するのは、1959年生まれ。一橋大学商学部を卒業後、山一証券経済研究所、メリルリンチ証券などを経て、2006年フィデリティ投信入社。フィデリティ退職・投資教育研究所所長を経て、2019年にフィンウェル研究所を設立し、資産の取り崩しや地方移住の啓発活動に注力している、資産運用と退職後の人生設計に精通した専門家、野尻哲史さんが著したこちらの書籍です。
野尻哲史『100歳まで残す 資産「使い切り」実践法 60代からの“まさか”に備え、資産寿命を伸ばす知恵』(日本経済新聞出版)
この本は、「退職後の資産は“運用しながら使う”ことで寿命を伸ばせる」という新しい資産活用法を提案し、取り崩しの実践手法を丁寧に解説した実用書です。
本書は以下の12部構成から成っています。
1.どうすれば安心してお金を使えるのか?
2.取り崩しの課題① 70代をどう迎えるか?
3.取り崩しの課題② 資産が減っても「怖い」と思わないために
4.取り崩しの課題③ 引出率は4%くらいでいいのか
5.取り崩しの課題④ 金融機関の引き出しシステムを上手に使う
6.取り崩しの課題⑤ 退職後のポートフォリオの組み方
7.取り崩しの課題⑥ 新NISAを退職後にうまく使うために
8.取り崩しの課題⑦ インフレ期に資産をどう取り崩すか?
9.取り崩しの課題⑧ 相場急落時の上手な引き出し方
10.取り崩しの課題⑨ もしも認知症になったら資産の取り崩しはどうなる?
11.取り崩しの課題⑩ それでもアドバイザーは必要
12.「お金を使い切る」という勇気
この本の冒頭「はじめに」では、物価高やインフレ、金融資産の目減りリスク、認知症などの“想定外の事態”を前にしても、冷静に対応できる「備え」の重要性が語られます。
前半の第1部~第4部では、「取り崩しの基本」とその考え方の変革を解説しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 「運用しながら使う」という発想で、資産寿命を10年延ばせる
◆ 引き出しルールは「定額」よりも「定率」が安定的
◆ 年齢とともに柔軟に引出率を見直すことがリスク軽減につながる
◆ お金の不安は「計画」と「可視化」で軽減できる
中盤の第5部~第8部では、金融商品や制度の活用、インフレ・相場急落への備え方について具体策が示されます。主なポイントは以下の通りです。
◆ 銀行や証券口座の出金手続きを「家族共有」できる体制に
◆ 新NISAの活用は「取り崩し後」も想定した資産運用がカギ
◆ 物価上昇局面では「実物資産」や「インフレ連動型資産」が有効
◆ 相場急落時には「引き出さない」柔軟性と選択肢が必要
後半の第9部~第12部では、認知症・終活といったリスクを踏まえた「お金の出口戦略」が語られます。主なポイントは次の通りです。
◆ 認知症リスクには「信託」「代理人制度」「家族信頼」などの備えを
◆ どんな状況でも「自分の意思で使い切る」ための判断力が重要
◆ 信頼できるアドバイザー選びが老後のQOL(生活の質)を左右する
◆ 使うことでこそ「お金」は意味を持ち、未来に価値を残せる
この本の締めくくりとして著者は、「お金は、死ぬときに余っているのがいちばんもったいない」と語り、「自分の人生を楽しむために、納得して使い切る」という資産哲学を提案しています。
あなたも本書を手に取り、100歳までの人生を「安心して生ききるための知恵」と出会ってみませんか?
ビジネス書の紹介・活用法を配信しているYouTubeチャンネル『大杉潤のYouTubeビジネススクール』の「紹介動画」はこちらです。ぜひ、チャンネル登録をしてみてください。
https://www.youtube.com/channel/UCIwJA0CZFgYK1BXrJ7fuKMQ
では、今日もハッピーな1日を!【3765日目】