「長い人生を生きるうえで、ひとつ、いえるのは、年とともに頭の使い方は変わる、ということです。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、1923年生まれで、英文学者、評論家、エッセイストであり、お茶の水女子大名誉教授の外山滋比古さんが書いた、こちらの書籍です。
外山滋比古『100年人生 七転び八転び -「知的思考錯誤」のすすめ』(さくら舎)
この本は、95歳で現役の作家として活動する著者が、「過去を振り返るのははしたないこと」と考えていたポリシーを変えて、かつてのことを少しなつかしく、よそごとのように綴った書です。
本書は以下の7部構成から成っています。
1.反常識の道をゆく
2.ころがる石あたま
3.知と創造のおもしろさ
4.遠くて近い思い出
5.退屈は人生の敵
6.人間の不思議
7.補遺「100年人生を生きるコツ」(外山滋比古・談)
この本は、著者の外山さんの中学校時代のエピソードから始まっています。
これまでの著書は、学者になってからの仕事や生活習慣がテーマとなっていたので、この本の前半は新鮮な記述です。
陸上や英語がもともと得意であったこと、意外と「負けず嫌い」の性格だったことが、エピソードからよく分かります。
著者の外山さんの生き様は、「反常識」で、それは次のエピソードからよく分かります。
◆ アメリカへのタダでの留学をしない
◆ アウトサイダーである人間が新しい発見をすることができる
◆ 名門校の教師を辞める
◆ 編集の仕事でも捨て身の大あばれ
次に、次のイギリスの諺について、イギリスや日本での解釈と、アメリカでの解釈が180度・正反対であることを挙げていて興味深い。
「Arolling stone gathers no moss.(ころがる石はコケをつけない)」
イギリスでは、「住まいや仕事をたえず変えているような者は成功しない(カネはたまらない)」という意味で、日本でも同様の解釈です。多湿な気候が両国には共通していて、コケ(苔)を嫌わず、カネになぞらえています。
一方でアメリカでは、「ころがる石は優秀である」という解釈で、「優秀な人材はあちこちから引っ張りだこになるからコケなどつけるわけがない、いつも輝いている」という意味で使っています。アメリカでは、コケとは汚いものなのです。
続いて、知と独創について、著者が取り組んできたものとして、以下の活動を紹介しています。
◆ 俳句
◆ 異本と古典
◆ ことわざ
◆ パラグラフ構造と思考
本書の後半では、遠くて近い思い出、「退屈」は人生の大敵であること、人間の不思議について、著者の思いを記述しています。
この本の最後には、「人生100年時代を生きるコツ」として、著者が会得してきたものを次の通り、整理しています。
◆ 年齢ごとに頭の使い方を切り替えていく
◆ 自分の頭で考えていれば、いくつになっても変わらない
◆ 80歳までは生産的な頭で
◆ おもしろいことがあれば大丈夫
◆ 一年が速い人は「悪」が足りない
◆ 混ざりものがあるから18金は強い
◆ 頭を使った生き方=「悪人」になって生きること
◆「常識的」は無害だが存在感もない
◆ いくつになっても脱線のすすめ
◆ 不安があるから頭を使う
◆ 生きがいは自活から生まれる
◆ 不安は「力」なり
とくに、最後にある「補遺」は、私が昨年出版した『定年後不安 人生100年時代の生き方』(角川新書)で提唱してきたことに通じるものがあり、大いに共感しました。
あなたも本書を読んで、「人生はいくつになっても試行錯誤、だから楽しい!」という著者の実践する「知的思考錯誤」を真似てみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!