フランス・ヨハンソン氏は、スウェーデン出身で、米ブラウン大学を卒業後、ソフトウェア会社を設立した。ヨハンソン氏はその後、医薬品会社、ヘッジファンドの仕事を経てイノベーション企業であるメディチ・グループを設立した。
本書は、予測不可能な現在の世界においては、成功はランダム性、偶然、運を捉えてチャンスを掴むという要素が大きい、ということを述べたものだ。
そういう意味で、著書によれば、過去の経験、論理、綿密な分析は成功の要因ではない。過去の成功例に頼っても、物事を有利に進めることにはならない。
過去の分析や未来予測は意味がなく、努力や練習の時間が成功を決めるわけではない。著者は、偶然に掴むチャンスや転機になった瞬間を 「クリック・モーメント」 と名付けている。
携帯電話のノキアがあっという間にトップ企業の座を失ったことや、ステファニー・メイヤーが小説 『トワイライト』 を大ヒットさせた経緯などが事例として紹介されている。
こうした予測不可能な現代においては、成功するためのランダム性を掴むには以下の心構えが必要だ。
1.行動の中に意図的にランダム性を取り入れる
2.自分が何をしているかをつねに把握しておく
3.偶然のチャンス(クリック・モーメント)を見つけた時に、そのチャンスに倍賭けできる準備を整えておく
本書の主張は、キャリア開発の名著『Luck is no accident 』(日本語訳書『その幸運は偶然ではないんです!』)に通じるものがある。たまたま掴んだキャリア開発のチャンスを活かすため、心の準備をしておくことが大切だ。
成功をめざす全ての人々に本書の一読を薦めたい。