書評ブログ

30秒で行うプレゼンの極意

日本のビジネスマンや政治家はプレゼンが苦手だと言われています。とくに、短時間で簡潔に、自分が言いたいことを効果的に伝えるスキルを持っている日本人は少ないのではないでしょうか。そこで、今日はこちらの本を紹介します。

 

ケビン・キャロル&ボブ・エリオット 『ビジネスは30秒で話せ』 (すばる舎)

 

この本は、GE、マスターカード、ウォルマート、IBM、メリルリンチなどの米国トップ企業で指導してきたコミュニケーション・コンサルタントが教える 「短く、魅力的に伝えるプレゼンの技術」 を記した本です。

 

この本で述べられているテクニックは、まさにプレゼンの王道とも言うべき 「基本的な技術」 すなわち、セオリーです。言われてみれば 「当たり前」 と思えることばかりに感じるかも知れません。

 

ただ、これほどまでに漏れなく、ほんとうにプレゼンにおいて大切な 「原理・原則」、「基礎・基本」 を網羅した書籍はないのではないかと、私は感銘を受けました。

 

本の中でも紹介されていますが、日本語翻訳版はカバーを取れば 「洋書」 のような装丁になっており、本のサイズもコンパクトで、常に持ち歩いてプレゼンの直前に見ながらチェックできるように工夫されています。

 

私は、この本を読み終えた瞬間に、これからプレゼンを控えたスケジュールの時は、ぜひそうしたいと思いました。それほど内容が素晴らしかったです。

 

具体的にポイントを紹介していきましょう。まず、プレゼンの準備からですが、最も大切なのは 「WIIFM」 ということです。これは、以下の英語の略で、「私に何のメリットがあるの?」 という意味です。

 

What’s In It For Me ?

 

この 「聞き手にとってのメリットは何なのか?」 をつねに念頭に置いて、プレゼンの準備をしなければいけない、ということです。当たり前のことですが、なかなか意識できないものです。でも、聞いてもらうプレゼンにするには必須です。

 

次に、この本で最も伝えたい最大のポイントですが、以下の 「ダイヤモンド・モデル」 の構成でプレゼンを行いなさい、ということです。

 

1.始め  : 注意をひく ⇒ メイントピック
2.中    : サブトピックの紹介1・2・3
⇒ サブトピック1 ⇒ サブトピック2 ⇒ サブトピック3
⇒ サブトピックの要約1・2・3
3.終わり : 結論 ⇒ アクションプラン

 

とくに大切なのが、①最も伝えたいことである 「メイントピック」 を最初に簡潔に述べること、②サブトピックを3つにすること、③サブトピックは、前後に紹介と要約を入れ、第1に、第2に、第3に、とカウントすること、④もう一度、メイントピックとしての結論を繰り返すこと、⑤最後に、聞き手にどうしてほしいかという 「アクションプラン」 を提示すること、の5点です。

 

この 「ダイヤモンド・モデル」 を頭に叩き込むだけでも、プレゼンはしっかりとしたものになり、この本の価値は十分あります。さらに後半では、「話し方」 や 「質問への対応」 についても的確なアドバイスが記載されています。

 

この本の最後には 「まとめ」 がありますが、とくに印象に残った、締めくくりに述べられたポイントを紹介します。それは、プレゼンに際して、つねに覚えておきたい、以下の 「 5つのC 」 についてです。

 

1.Clarity (明確さ)
2.Conciseness (簡潔さ)
3.Color (色付け)
4.Conviction (信念)
5.Control (コントロール)

 

この 「5つのC」 を念頭に置いてプレゼンを行えば、言いたいことは必ず相手にビシッと伝わるはずだ、と述べてこの本は締めくくっています。詳しい解説は不要でしょう。

 

では、今日もハッピーな1日を!