立花岳志氏は、月間160万PVのアクセスを持つ人気ブログであるNo Second Lifeを運営するノマドライフ・ワーカーだ。
本書は、立花氏の半生記とも言える物語で、非常に長いビジネス・プロフィールとなっている。西麻布の家に生まれて育ち、親も祖母もシンガーという都会の恵まれた家に育ったが、バブル崩壊が一家をどん底に落とし入れた。
西麻布の家を改築した借入金をテナント退去と家賃暴落で返済できなくなり、土地建物を売却しても借金だけが残った。親子三世代がリレーして返済を続け、最後は立花氏が借金を引き受けて完済する。
借金を背負った時点で、立花氏は人生を変える決心をして、節約、ダイエット、独立起業の道を歩む。今できることをコツコツと続け、徐々に結果が出てきたところで、長年勤めた中小企業の管理職を退職して独立した。
立花氏が選んだのはプロのブロガーだ。サラリーマンをしながらブログを毎日3本、書き続けて徐々にPVを上げていく。アップル製品の紹介やコメントから始まり、ダイエットやランニングの記録、食べ物や旅行の話、好きな本の書評など、総合的なブログだ。
No Second Lifeという立花氏の好きなことだけを書いたブログは、もの凄い頻度で更新が続き、途切れることがなかった。徐々にファンが付いて広告収入が入るようになったところで独立した。
独立すると圧倒的な時間をブログ更新に充てられるようになり、プロとしての基盤ができたという。まさに好きなことだけをして生活をするノマド・ワーカーという働き方を手に入れた。
私が本書で感銘を受けたのは、人生のピンチをチャンスに変えた点だ。資産のない借金と105キロの成人病予備軍の体調、前妻との離婚危機など、大きなピンチを節約・ダイエットや独立起業のチャンスに変えた。
ブログも好きなこと全てを書く「総合ブログ」という形態がユニークが。ファンの小説家、村上春樹氏が「総合小説」を標榜しているのに倣ったそうだ。この点も私が共感する点だ。
好きなことをする人生を目指したい全ての起業家予備軍の方々に、ぜひ本書の一読を薦めたい。