立花岳志氏は、人気ブログ No Second Life を運営するプロ・ブロガーで、ノマドワーカーというライフスタイルを実現している。様々な形のコミュニケーションを通じて、好きなことを仕事にする自己実現を提唱している。
本書は、立花氏が経験した30代でのダイエット失敗と、40代になってから i Phone アプリやSNSを使ってダイエットに成功したノウハウが惜しげもなく公開された書だ。
ダイエットに関するベストセラーでは、岡田斗司夫著 『いつまでもデブと思うなよ』 (新潮新書)が有名で、これは体重の変化をを毎日、数値で記録することのみにより、行動や習慣を変えてダイエットを成功させるという画期的な書だった。
本書は、岡田氏のダイエット手法に通じる部分があり、体重の数値化をさらに進化させ、デジタル機器を駆使して、かつSNSで同じ目標を持つ仲間と繋がり、励まし合いながらダイエットをすすめるノウハウを紹介している。
まず、ダイエットに失敗するパターンは以下の3つだと著者はいう。
1.計画に無理がある
2.方法が自分に合っていない
3.ダイエット中の孤独感に負ける
立花氏が30歳代で、ダイエットとリバウンドを繰り返した失敗経験から学んだ法則だ。そこで、40歳代になって立花氏が出会ったのが i Phone アプリを活用したダイエットの PDCA 管理だ。まさに最強の自己管理ツールだと言う。
立花氏が絶賛するアプリは、Runkeeper だ。当時は1,200円という i Phone アプリとしては極めて高額なアプリだったが、今は何と無料。このアプリでは次のことができる。
1.ランニング時に i Phone を持って走ることで、走った距離・時間・ルートを記録できる
2.Runkeeper のサーバーとの間でデータ動機ができるため、PCからも記録を確認できる
3.身長・体重・年齢・性別などを登録すると消費カロリーを計算してくれる
4.Runkeeper のユーザー同士が友達になってお互いの走行距離を確認できる
5.ランニング以外にもウォーキングやサイクリングのログも記録できる
6.ログを Facebook や Twitter にエクスポートして友達やフォロワーに情報シェアができる
この仕組みは、岡田氏のダイエット手法のキモである 「数値による記録・見える化」 と、ダイエットを最も難しくしている 「孤独感」 をともに解決できる画期的な手法だ。
「記録」 というダイエットへのハードルが、i Phone アプリというテクノロジーを活用することにより、一気に取り除かれることになった。さらに、ダイエットには運動だけでなく、食事の管理も重要だと著者は言う。
食事のコントロールに関しても i Phone アプリには優れものがあって、立花氏のお薦めは、「カロリー管理」 というアプリだ。利用開始時に身長・体重・性別・年齢などの基本情報を登録し、目標体重を入力する。
あとは日々に食べた食事を漏れなく、できるだけすぐに入力していくだけだ。すると毎日の摂取カロリーが計算され、1か月平均などの記録が確認できて、カロリーコントロールが簡単にできる。
また、本書でユニークな点として、「睡眠」 に焦点を当てていて、総合的な生活管理を行うことで体温・血圧なども含めた健康増進ができることを説いている。睡眠については、i Phone アプリとして、daily tracker と Sleep Time の2つを立花氏は愛用している。
前者のアプリは睡眠時間の記録・管理に有効で、後者のアプリは、睡眠時間と睡眠の質を管理できるものだ。詳しくは本書を参照して欲しいが、簡単な操作なのに、多くの気付きが得られるだろう。
本書は、ダイエットの手法のみならず、総合的な健康管理や生活習慣の改善をアプリによって進める画期的なノウハウを凝縮した書だ。健康管理、成人病予防に取り組む全ての人に本書を推薦したい。