本書は、昨日紹介した『サーバント・リーダーシップ』を実戦の中でどのように活用していくかを説いた本で、ビジネスにおいてとても有用な書だ。
『サーバント・リーダーシップ』は、ロバート・K・グリーンリーフが1970年に提唱した「リーダーである人は、まず相手に奉仕し、その後相手を導くものである」というリーダーシップ哲学だ。
日本語では、奉仕型リーダーシップとか、支援型リーダーシップと翻訳されるが、そのままの「サーバント・リーダーシップ」が最もニュアンスを表しているだろう。
サーバント・リーダーシップは、以下に示す現代のビジネス環境に対応できるので、世界的に注目度が上がっている。
1.成熟社会による構造変化
⇒ 少子高齢化、モノ余り・サービス余り、顧客ニーズの多様化・高度化
2.グローバル社会の到来
⇒ グローバル競争の激化、相互依存関係、地球資源の有限性
3.ネット社会の実現
⇒ 消費者優位の情報社会、経営戦略のコモディティ化
そもそもリーダーシップとは何か、という問いに対して、管理職が使う以下の2つの影響力を分けて理解するとよい。
1.リーダーシップ (非定型業務、すなわち変化に対応する創造性)
2.マネジメント (定型業務、すなわち効率性、再現性)
そして、リーダーシップの2つの資質として、①能力、および、②人間性がある。
以上のことから、サーバント・リーダーシップとは、①人をやる気にする、②目的の力(大義)を活用する、などを通して、「道徳やキレイごとでは人は動かない」ことを踏まえ、人間の「基本的欲求」を満たす行動により、組織の実行力を高めていくものだ。
人間の基本的欲求とは、①愛・所属の欲求、②力・価値の欲求、③自由の欲求、④楽しみの欲求、⑤生存の欲求、である。
著者の真田茂人氏は、リクルートや外資系金融会社、人材サービス会社設立を経て独立した。現在は、人材育成専門会社の株式会社リアリゼの代表で、日本サーバント・リーダーシップ協会理事長も務めている。
本書は、サーバント・リーダーシップを理解し活用するには、原書(昨日に紹介)を除き、最良の書だ。真のリーダーシップを探求する全ての方々に本書の一読を薦めたい。