武井則夫氏は社団法人企業価値教会の代表理事で、中小企業を元気にする目的で、マーケティングを中心とするコンサルティング活動を精力的に行っている。本書は、売上と利益を増やすための心理マーケティングの神髄に迫る本だ。
本書で述べる心理マーケティングの核心は以下の3点だ。
1.人は理由があれば行動する
2.そして理由が伝われば選ばれる
3.だから 「選ばれる理由」 をこちらが用意する
非常にシンプルな原則だ。消費者である我々は、モノやサービスを買う時に必ず、比較検討を行うものだ。その過程で、買う理由すなわち、ある商品を選ぶ理由を考える。
したがって、企業としては「選ばれる理由」を作ればよい。それは企業の「ウリ」であり、他社に対しての強みだ。できれば「オンリーワン」の存在になれば申し分ない。
選ばれる理由を作った後には、それをいかに「伝える」かということが大切になる。ここの部分ができていない企業が実に多い。お客様に伝わらなければ、どんなに光る原石を持っていたとしても意味がない。
効果的な方法として、「ストーリー」にして価値を伝えるという手法がある。どんな企業の、どんな「ウリ」についても、それを作り出してきた物語があるはずだ。
それを消費者の「感性」に訴える形で、ストーリーを組み立てるのだ。感動の物語は消費者の心を動かし、選ぶ理由として認識し、買うという行動に結びついていく。
対象とするお客様を明確にし、お客様を「プロファイリング」して、ストーリーとして価値を伝えていく、ということだ。基本は、さとらせ系アプローチだ。
また、お客様は購入する前と購入した後の、二度評価する、ということを肝に銘じるべきだ。会社として、「選ばれる理由」 を仕組みにしていくことが重要だ。
本書は、企業の経営企画などマーケティングを担当する人はもちろん、経営幹部の全ての人に読んでもらいたい名著だ。経済は心理で動き、消費者の行動は心理なのだ。