ジェフ・ベゾスはインターネット販売の覇者アマゾン・ドット・コムの創業者CEOだ。急成長するIT企業の中でも、アマゾンの成長ぶりは群を抜いている。
利益を度外視しているかのような積極投資の経営だ。インターネット販売の顧客シェアを取るために、物流センターへの投資とコンピュータ・システム投資は常識外の規模とスピードだ。
ITバブル崩壊の時は、ジェフ・ベゾズと言えども、売上増加よりも利益を出すことを優先せざるを得なかった。ただ、利益はいつでも出せることがわかり、株主や投資家が納得すると、またもや積極投資による赤字経営に戻っている。
赤字の規模は半端ではない。これで株が買われ、株主が納得してついてくるのだから、その事業戦略の明快さは、アップルの創業者、故スティーブ・ジョブズに引けを取らない。
顧客はつねに正しいとして、徹底的な顧客サービスを追及する姿勢は、大きな支持を受けている。カスタマー・センターの迅速・丁寧な対応と物流倉庫の効率的な運営については、ベゾス自らチェックするほどだ。
毎日が第1日目と考えて、革新を追求する。イノベーションこそがアマゾンの成長DNAなのだ。ベゾスはマイクロソフトやアップルに敬意を払い、学ぶべきことは何でも吸収したそうだ。
IT業界の覇者として、グーグル、フェイスブック、アップル、アマゾンが 「4強」と呼ばれているが、ベゾスは何故、マイクロソフトが入っていないのか不満だという。マイクロソフトはもう終わったビジネスモデルという気がしないでもないが、ベゾスは違う見方なのだろう。
本書は、ジェフ・ベゾスのユニークな経営の考え方を彼の言葉とともに解説していて分かり易い。著者の桑原氏は、ジャーナリストとしてジョブズやバッフェトなど取材に裏打ちされた書籍は好評だ。
稀有な天才経営者ジェフ・ベゾスとアマゾンの経営戦略を知る良書として、ぜひ一読を薦めたい。