弘兼憲史氏は、1947年山口県生まれ、いわゆる団塊の世代の66歳だ。早稲田大学法学部卒業後、松下電器産業(現パナソニック)に入社し、25歳で会社を辞めて漫画家を志した。
弘兼氏は、『風薫る』 で漫画家デビューし、『人間交差点』 で小学館漫画賞、『課長・島耕作』 で講談社漫画賞を受賞して、売れっ子漫画家となった。
本書は、ある日突然、「まさか が起こる年代である「50歳」という年齢を採り上げ、死から逆算して人生をどう生きるべきかを説いた書だ。タイトルは「死に方」となっているが「死に方」が書いてあるのは最終章のみで、本書の大半は生き方を記したものだ。
本書は以下の5部構成となっている。
1.それは、夏の終わり
2.直面する現実と覚悟
3.これから、どう生きるか
4.今、すべきこと
5.その先にあるもの
本書において著者が述べている主な主張は以下の通りだ。
1.人生は死からの逆算した 「引き算」 で決めるべきで、平均余命から割り出した30年をどう生きるかを考えるべきだ
2.50歳からの覚悟①として、他人と自分を比べない
3.50歳からの覚悟②として、わが子の教育問題から逃げない
4.50歳からの覚悟③として、親の介護
5.50歳からの覚悟④として、「失う」 覚悟をもて
6.ローリスク・ローリターンという生き方がいい
7.友達を減らしなさい
8.人生は片道切符、だから賭ける価値がある
9.50歳で持つべきは夢ではなく 「目標」
10.50歳から 「起業」 という選択もある
11.50代だからこそ選ぶ 「オタク」 という生き方
12.企業のトップを目指すなら、本物の 「ジジ殺し」 になれ
13.叶わない夢は持たない
14.目標にタイムリミットを設定する
15.「これだけは他人に負けない」 ものを持つ
著者の経験やマンガで取材した50歳代のサラリーマンたちの生き方を参考にして論じた本書の主張は説得力がある。
生きかたはもちろん、人それぞれだが、本書の説く50歳からの生き方を知ることは、大きな意味を持つだろう。本書を団塊の世代の後に続く、数多くの50歳代のビジネスパーソンに薦めたい。