売れない時代の新しい商品の売り方を提唱している本があります。定年前起業をする前に、ぜひ読んでおきたい一冊です。
そこで今日は、過激なタイトルで誤解を招きかねない、こちらの本を紹介します。
川上徹也『物を売るバカ』(角川ONEテーマ21新書)
この本は、「商品」ではなく「物語(ストーリー)」を売れ、という「ストーリー・ブランディング」を提唱する書です。著者の川上徹也さんは、数多くの広告制作やコピーライティングの経験から黄金法則を導き出しました。
本書は以下の6部構成から成っています。
1.スーパーより高い野菜が通販で売れる謎
~人は物だけを買っているのではない~
2.なぜこの「もやし」が買いたくなるのか
~どこにでもある商品でも物語は作れる~
3.「奇跡のリンゴ」が映画になった理由
~人類共通の感動のツボとは?~
4.小さなオフィス機器販売会社モテる理由
~価値を「見える化」する3本の矢~
5.同じ新幹線の車内販売で4倍売れる秘訣
~お客さんと相思相愛になるラブストーリー戦略~
6.結局すべては「人」なんだ、という法則
~人は人の思いに共感する、共感すると買いたくなる!~
この本で著者が一貫して伝えていることは、「物語(ストーリー)の力を使って、商品・お店・会社・個人など、ビジネス全般を輝かせ続けること」です。これを「ストーリーブランディング」と呼んでいます。
「ストーリーブランディング」では、以下の「3本の矢」を構築していきます。
1.志(=大義)
2.独自化のポイント
3.魅力的なエピソード
1番目の「志」とは、世の中に向けて発信する「大義」であり、私の言葉で言えば「ミッション」(=社会的使命)です。
2番目の「独自化のポイント」は、一言で説明できるものでなければなりません。ファーストワンかナンバーワンかオンリーワンというポジショニングを築くということです。
そのためには、①分野を絞り込む、②勝手に宣言してしまう、③見せ方、魅せ方を変える、といった工夫が必要でしょう。
物語(ストーリー)を使うのは、以下の7大メリットがあるからです。
1.興味を持ってもらえる
2.感情移入してもらえる
3.記憶に残る
4.オンリーワンになれる
5.失敗を語ることでより深い共感を得る
6.イメージを共有できる
7.口コミをしたくなる
しかし、当然ながら物語(ストーリー)は万全ではありません。ただ、次に挙げる「ストーリーの黄金律」を踏まえれば、非常に高い確率で共感を得ることができます。
1.何かが欠落している(または欠落させられた)主人公が
2.何としてもやり遂げようとする遠く険しい目標やゴールに向かって
3.数多くの葛藤、障害、敵対するものを乗り越えていく
新潟のアイドルNegiccoやMERIの布草履、奇跡のリンゴなど、この「黄金律」に沿った物語(ストーリー)が数多くのファンを惹きつけています。
満足の上を行く「心に響く何か」を提供することで、お客さんの「記憶に残る」からリピーターになるのです。価格は下げないで価値を上げることを考える、そこに物語(ストーリー)が必要になります。
今やカフェはコーヒーを飲みに行くだけのところではなく、「気持ちよく読書できる空間や時間を買う」というお客さんも数多くいます。
また、大型書店に対抗して、「本を通した人と人のつながりを求めてくる人々のニーズ」に応えて、読書会や英語勉強会、コミュニティを形成している小さな書店もあります。
この本には、物語(ストーリー)を売ることで成功している会社の事例が豊富に出てきます。「商品に人をプラスすると物語になる」と著者は言います。
また、「ラブストーリー戦略」と言われる「お客さんと相思相愛になる」ための7つの魔法が以下の通り紹介されています。
1.物を売るな、物語を熟れ!
2.おもしろそう、と思わせる
3.五感すべてに訴えかけよ
4.お客さんと親密になり、一緒に行動せよ
5.自分をさらけ出す
6.ミステリアスな要素を残せ
7.期待値を1%でも上回り続けよ
ストーリーを使ってブランディングを行い、オンリーワンと言える「独自性」をどんどん発信していきましょう。定年前起業には、この個人ブランディングと情報発信が極めて重要です。
では、今日もハッピーな1日を!