就職活動や転職などで悩む人たちに、自らの転職や悩んだ経験から温かいアドバイスとエールを送っている書があります。
日産自動車に入社し、何度かの転職の後に、スターバックス・ジャパンCEOに就任した岩田松雄さんが書いた、こちらの本を今日は紹介します。
岩田松雄『「今日こそ、会社を辞めてやる」と決める前にやるべき55のこと』(経済界)
この本は、今悩んだり迷ったりしている人たちに、岩田さんが寄り添って聞き、話しかけるつもりで書いた、と言っています。
著者の岩田さんも20代から30代にかけてノイローゼ寸前まで悩んだり、会社を辞めて転職した経験を持っています。
そうした時に、「人間は努力する限り迷うものだ」というゲーテの言葉に何度も救われたと言います。今悩んだり迷ったりしているのは、あなた自身が自分の人生を真面目に考えて努力している証だということです。
本書は、以下の5部構成から成っており、全部で55の「やるべきこと」という形でアドバイスが記されています。
1.人間関係の悩み・疑問; 人間関係はやっかいで難しい
2.ビジネスの世界の悩み・疑問; 仕事の意味を見出そう
3.ビジネス・コミュニケーションへの悩み・疑問; コミュニケーションが欠かせない時代
4.自分の生き方への悩み・疑問; どんな生き方を志すか
5.教養に関する悩み・疑問; 教養とは何か
まず最初の「人間関係の悩み・疑問」のところで、岩田さんは「会社を辞めたくなる原因のほとんどは、上司との関係。私も苦しんだ一人です。」と述べています。
それほど上司との人間関係は会社員生活を決定的なものにする影響力があります。人間関係に関するアドバイスとして、著者は以下のことを挙げています。
1.人間関係の基本は「鏡」、まずは自分自身を見直してみる
2.たった2年間だと思い、我慢する覚悟で上司を観察せよ
3.どうしようもない上司には、冷静に最後の手段で対抗する
4.「見た目」がいいかどうかが人の第一印象になり評価になる
5.余裕をもって観察する、すると「笑い」のネタが発見できる
次に、2部めの「ビジネスの世界の悩み」に関しては、「いやいや働いていませんか、働くことの意味を見出せれば仕事が俄然面白くなります。」と著者は呼びかけます。
「我々は何ができるかで自己評価し、何ができたかで評価される。」アメリカの詩人ヘンリー・ロングフェローの言葉です。人は自分を過大評価し、周りが理解してくれないと嘆きます。
周りは目に見える実績だけで評価する。自信過剰にならず、自己の可能性を信じ、一つひとつ実績を積み上げることで、はじめて人から評価・信用される、と著者は述べています。
また、以下のアドバイスは心に沁みます。
1.目の前の壁はそのつど乗り越えなさい、努力癖は能力・才能などより力になる
2.仕事の意義を知ればやりがいが湧いてくる
3.締め切りに対する時間感覚を磨き、「今すべきこと」を着実に実行しなさい
4.目先のことにとらわれない、全体を見据えた段取り力がモノをいう
5.ミッションは世の中をよくする原動力
3部めの「ビジネス・コミュニケーションへの悩み」について、「思いを伝える熱意と相手への思いやりがあれば言いたいことは必ず伝わります」と著者は言います。
さらに4部めの「自分の生き方への悩み」について、「人生で大事なのは能力ではない、自分の存在理由・ミッション持つことをです」と岩田さんは述べています。続けて以下のアドバイスを挙げています。
1.自分の可能性を信じて生き抜く、頑張るために強い動機を持ち続けたい
2.好運は棚ぼたではない、ポジティブな生き方の人に降ってくる
3.感謝の気持ちは素直さや謙虚さの表れ、幸せをつかむことができる
4.平等で取り返せない貴重な資源、戦略的に時間配分を考えて使いたい
5.中長期には楽観的に考え、短期では悲観的にものを考える
最後の5部めの「教養に関する悩み」について、著者は「根底に哲学がないと経営も人生も近視眼になってしまいます」と警鐘を鳴らしています。
また以下のアドバイスを挙げています。
1.知識偏重は情報洪水に流される、知識を生活に活かす知恵こそ大切
2.目の前のことに一喜一憂せず、高い視座を持つ
3.よい本は何度も繰り返して読む、そのたびに目からウロコが落ちていく
以上、全部で55にわたり、心に響くアドバイスがなされ、読者は勇気づけられます。皆さんも「会社を辞める」という結論を出す前にぜひ、本書で紹介される言葉を噛みしめていただきたい。
定年前起業に向かう際にも会社を辞める前に、、もう一度問いかけていただきたい言葉の数々です。
では、今日もハッピーな1日を!