本書は、昨年秋のコラムで「速読法・多読法」カテゴリーの初期に採り上げた宇都出雅巳氏の同書名単行本が文庫化されたものだ。
前書きなど一部、加筆されて、よりわかりやすくなっており、且つ、読書の本質を伝える内容なので再度、採り上げた。
宇都出雅巳氏は、東大経済学部を卒業後、コンサルティング会社勤務などを経て、ニューヨーク大学スターンスクールにてMBAを取得。資格の勉強法から速読法を習得した。
宇都出氏が唱える「速読」は、高速大量回転法という手法で、ポイントは以下の通り。
1.速読力 = 速読技術 × (知識・情報・経験まどの)ストック
2.速読は技術も必要だが、主として読む本のジャンルに関するストックがものをいう
3.2回目は1回目より速く読める
4.全体の骨格をつかむように読み、高速で繰り返し大量に読むことで速く読める
5.目次、まえがき、あとがきを中心に小見出しのみを読んで骨格をつかむ
6.本の骨格、全体構成のストックがあると本文も速く読める
7.高速大量回転法による速読の方が理解度も高まる
世の中の速読法は、速読技術のみに焦点をあてていて、ストックに関する教えが殆どない。フォトリーディングなど速読法で挫折する人が多いのはそのためだ。
高速大量回転法により速読ができる人は、ますます読書量を増やし、ストックもさらに増えて、ますます速読ができる、という好循環となる。
一方、ゆっくり読書で進まない人はストックが増えず、理解できないからさらにゆっくり読むという悪循環に入る。読書量に大きく差が出るゆえんだ。
読書の基本とも言える本書を、まずは全ての方々に再度、強く推薦したい。