井上一馬氏は、1956年東京生まれで、比較文学論を学んだ後、アメリカ文化の考察、紹介、その他の作家活動を続けている。
本書は、「究極の学習法」 というサブ・タイトルの通り、英語学習の基本を述べた良書だ。「どうしたら英語を話せるようになるか」 と悩んでいる日本人は数多い。
しかし著者は、英語を話すことは決して難しいことではないし、日本人が苦手だというわけでもない、と述べる。但し、王道はなく、発音や文法など、英語の基礎・基本を学び、自分の英語を話す以外に方法はない、と結論づけている。
本書の記述はまさに、英語の基礎・基本を強調したオーソドックスな主張だが、以下の構成になっている。
1.自分の英語を話す
2.日本人は英語が苦手ではない
3.私と英語
4.国際語としての英語を学ぶ
5.日本の学校英語の問題点
6.日本人のための英語学習法
7.出直し英語成功法
8.リスニングの方法
9.リーディングの方法
10.スピーキング’(&ライティング)の方法
私は、ビジネス英語の上達のためにTOEIC公開テストの受験を勧めているが、TOEICスコアを上げていく王道も、本書で述べられている英語の基礎・1基本を学ぶことだろう。
本書は、章の変わる間に、「Coffee Break」 として、身近な話題と英語での関わりを採り上げていて、これも非常に興味深い。
英語をしっかりと学習したい人に対して、英語に向き合う心構えを伝える名著として、本書を多くの方々に推薦したい。井上一馬氏は、英語に関する著書も多く、英会話習得の考え方には定評がある。
本書のあとがきや索引の中で、推薦できる学習教材や参考文献も挙げられている。英語習得の指針として、ぜひ本書を手元に置くことをお薦めする。