読書の方法は、時代とともに変化しています。かつて 『レバレッジ・リーディング』 で反響を巻き起こした本田直之さんが、さらに進化した 「読書法」 を提案しています。そこで、本日採り上げる書籍はこれです。
本田直之 『リーディング3.0』 (東京経済新報社)
この本は、情報通信革命がさらに進んでいる現代の変化に対応した、効果的な読書法を提示しています。本田さんによれば、今までの読書は ①物理的な制約、②場所と時間の制約、③情報シェアの制約があった、としています。
「リーディング1.0」 はひとりで読書する形、「リーディング2.0」 は内容を活用する形、そして今回テーマとする 「リーディング3.0」 は、ソーシャル・モバイル・テクノロジーを駆使してバーチャルな空間でシェアする読書法です。
具体的に説明しますと、リーディング環境の変化は、①さまざまなモバイルデバイスの登場、②クラウドサービス、③ソーシャルネットワークの普及で加速しています。
これまでは、モバイルはモバイル、SNSはSNSという単独の 「点と点」 で存在していました。それが、3.0時代には 「点と点」 がつながって 「線」 になるがごとく絡み合い、さらに太い線になっています。
パソコンという端末は2.0時代からありましたが、常時インターネットに接続でき、高速ネットワークが確保され、低価格化されたモバイルデバイスが3.0時代には普通になりました。
そして革命的な変化を起こしたのが 「クラウドサービス」 です。 「クラウドサービス」 とは、ネットワーク経由でコンピュータのアプリケーションやファイルを利用することです。クラウドによる変化とは以下の3点です。
1.ソフトウェアの個人所有からの解放
2.端末依存(ローカル)からの解放
3.ノマド・ワーキングの実現
以上の環境変化によって、ワーキング・スタイルだけでなく、リーディング・スタイルにも大きな変化をもたらしました。リーディング3.0は、①情報力、②即時性、③ソーシャル・リーディングの3点で、2.0とは大きく異なります。「情報のシェアがリアルタイムになった」 というのがその本質です。
では、この本で述べられている 「レバレッジ・リーディング」 のポイント復習と、「リーディング3.0」 の本質について、紹介しましょう。まず、「レバレッジ・リーディング」 のポイントは以下の6つです。
1.読書は投資である
2.速読ではなく多読
3.本のスクリーニングにこそ力を入れよ
4.ビジネス書の読み方を変えよ
5.レバレッジ・メモを作ってアウトプットせよ
6.読んだら本を捨て、エッセンスを最大限に活用せよ
それを踏まえて、というか土台にして、本田さんは次の 「レーディング3.0」 を提唱しています。それは以下の5つのステップから成ります。
1.良いものを効率的にインプットする
2.ストックと整理を同時に行う
3.サーチの発達で整理が不要になる
4.シェアで多くの人とつながる
5.フィードバックで自分の情報に磨きをかける
そこで、本田さんは 「リーディング3.0時代」 に必要な能力として、次の6つを挙げています。まさにその通り、と言うのが私の感想ですので、紹介します。
1.クラウド力で場所の制約を取り払う
2.モバイル力がつけばクラウド力が拡大する
3.サーチ力をエバーノートで加速させる
4.ソーシャル力で効率的にコントリビューションする
5.英語読解力なしではサバイバルできない
6.スクリーニング力なしでは、5つの能力は機能しない
著書の本田さんは、この中でとくに1番目のクラウド力と2番目のモバイル力をとくに土台として重視しています。クラウド力とモバイル力を合わせたものがノマド・リテラシーであり、新しいワークスタイルのインフラです。
残りの4つの能力は、リーディングのために強化しておきたい能力ということになります。私もビジネス書の 「多読」 を実践している経験から、まったくその通りだと実感しています。
この本は、後半部分で具体的なリーディング法がアプリの紹介、推薦書の提示などを伴って述べられています。2011年5月に書かれたものですが、参考になることが多いのでぜひ、一読をお薦めしたいです。
では、今日もハッピーな1日を!