「もしあなたの職場の上司がブッダだったら」と考えたことはありませんか。当然、無いだろうと思いますが、ブッダがインドに生まれ、教えを説いてから2500年以上の歳月が経過しています。
仏教徒は、生きとし生けるものを究極の安らぎと幸福へと導く道を示した偉大な師だとしてブッダを仰いでいて、その教えや考え方を職場へ応用することは、大きな効果があります。
そこで本日は、こちらの本を紹介します。
Dr.フランツ・メカルトフ著『ブッダが職場の上司だったら』(日本文芸社)
この本は、昨日のコラムで紹介しました第2回読書交流会(2015年2月11日開催)にて、発表者の40歳代女性から紹介のあった「推薦書」です。
以前、この方に紹介いただいた舛田光洋『夢をかなえるそうじ力』(サンマーク文庫)を読んで大変感動したので、今回の「推薦書」も楽しみにして読みました。2015年1月12日付のコラムで下の舛田さんの本を紹介しています。
さて、『ブッダが職場の上司だったら』を読了しての感想は、期待に違わず素晴らしい書でした。この本は仏教の豊かな知恵を現代の仕事の場に生かすために書かれました。著者のDr.フランツ・メトルカフさんは米国カリフォルニア州立大学ロサンゼルス校教授で、現代アメリカの禅および仏教研究の第一人者です。
殆どの人は起きている時間の大半を職場で過ごし、伴侶の顔を見て過ごす時間より上司の顔を見て過ごす時間の方が多くなります。
つまり多くの人にとっては仕事は自分のアイデンティティーを確立し、社会のニーズを満たし、達成感を味わい、人生の目的と意味を見出す手段となっています。
また仏教が説いたこの世の根本的真理-苦、無我、無常-に直面する場でもあります。多くの人は職場を、自分の精神性や指導力を発揮できる場所と考えています。
ブッダの教えの核は、ブッダが行った最初の説法の中に見ることができます。それは自分を極端に甘やかすのも自分を極端に苦しめるのもいけない、といういわゆる「中道」の教えです。
次にブッダが説いたのはいわゆる「四聖諦」の教えで、以下の通りです。
1.人生は苦に満ちている。欲しくないものを得、欲しいものは得られず
2.苦の原因は欲望と執着である
3.欲望と執着は断ち切ることができる
4.欲望と執着を断ち切るための具体的方法は「八正道」に従うことである
上記4番目の「八正道」とは、以下の8つの道を実践することです。
1.正しい見解
2.正しい決意
3.正しい言葉
4.正しい行為
5.正しい生業
6.正しい努力
7.正しい想念
8.正しい精神統一
これら8つのうちいくつかは職場に深い関連があることは明らかでしょう。この本の構成は以下の11部から成っています。
1.「いい仕事」は必ず報われます
2.「木を切り、水を運ぶ」人になろう
3.今日の仕事に「よろこび」を見出す法
4.「集中する」力と「受け入れる」力
5.お金の問題を解決するブッダ
6.「変化」に対応できる力を
7.お互いに「生産的」な人間関係をつくる法
8.とかく「問題のある人」とうまくつき合う法
9.これがブッダならではの「顧客サービス」法
10.こらがブッダならではの「顧客サービス法」
11.ブッダがつくる「能率が上がる場所」
12.自分をもっと「深く」掘りなさい
これらの中で私が最も感銘を受けた箇所は、上記6の「変化に対応できる力を」です。現代の世界は変化が激しく且つスピードが速いのが特徴です。そして何かを変えたければ、まず自分が変わらなくてはなりません。
この本を読むと、禅や仏教の教えをどのように職場で活用すればよいかを考え、自分の考え方や行動について、改めて改善点を気づかされます。皆さんも生活の大半を過ごす「職場」を楽しい処にするために本書の教えを実践してみませんか。
では、今日もハッピーな1日を!