書評ブログ

ジョン・キム 『媚びない人生』 (ダイヤモンド社)

先日、『不安が力になる』 (集英社新書)を紹介したジョン・キム氏がブレイクするキッカケとなったのが本書だ。ジョン・キム氏は、韓国生まれで、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科特任准教授を歴任した。

 

その時に卒業するキム・ゼミ生への最終講義 『贈る言葉』が本書だ。韓国、日本、米国、英国、ドイツの四大陸五カ国に滞在して習得した多様な文化や価値観に裏打ちされた深い言葉は人の心に沁みる。

 

現在は拠点をパリやバルセロナに移して執筆活動を中心とする生活を送っている。将来に漠然とした不安を持つゼミの卒業生たちに、今この瞬間から内面的な革命を起こせと呼びかけている。

 

では、キム・ゼミ最終講義 『贈る言葉』のエッセンスを以下に紹介しよう。

 

1.今この瞬間から内面的革命を起こし、これからの人生を支える「真の自由」を手に入れよう
2.内面とは、①感情、②思考、③言葉、④行動の4つ
3.内面の強さがあれば自然体になれて、自分の人生の 「指揮権」 を取り戻すことができる
4.外に目を向けるのをやめ、内に目を向けること
5.内面のコントロールとは、自分と向き合う時間を持つということだ

 

6.幸せの基準は他人や世間の評価ではなく、自分で設定すること
7.未熟から成長に向かうプロセスこそ、生きる意味だ
8.死と向き合い、死ぬ瞬間まで成長を続けられる人生こそ幸せな人生だ
9.すべての時間を学びの時間にする
10.自分にとっての理不尽は、相手にとっての合理である

 

11.努力してなかなか結果が出ないときは、最終的に得る結果が大きくなる、踏んばりどころだ
12.結果に全責任を負う、覚悟をもって受け入れる
13.自分でコントロールできない不可抗力には逆らわず、コントロールできることに集中する
14.社会的な真実は複数あり、それが共存しているのが社会、真実は気まぐれでうさん臭い
15.常識を疑い、前提を疑うこと

 

16.多元的に物事を見る、多元的な価値観を持つことが自己防衛力を高める
17.見えないものを見て、聴こえないものを聴くという意識を持て
18.誰も見たことのない地図を描こう
19.他者の目を気にしない、他人の評価を過大評価しない
20.他者や社会や家族など外部に向いている8割の視点とアテンション(注意)を自分(内面)に向けよ

 

21.自分に向いている2割の視点とアテンションを外部に向けよ
22.創造的な人材とは、自ら山を見つけ、その山を登っていく人
23.誰も登ったことのない山を見つけ、登ることが自分のための人生だ
24.挫折や失敗をしてきた人は大きなチャンスに遭遇する、自ら新しい山を見つけ、登っていくことができる
25.送りたい人生を送る方法は無数にある、山は無数にある

 

26.代替されない自分を作っていくことだ
27.評価軸を外に置かない、自分の中にこそ明確な評価軸を設定せよ
28.直感を信じ、直感を磨きなさい
29.直感とは、感情と思考の結晶だ
30.戦略的にやめること、本質以外のものを削り落とすことが大切だ

 

31.どんなに抑圧された環境でも、自分の頭で考え、自分の言葉で語り、自分の意志で動ける人材になれ
32.次の瞬間、死んでもいいように、瞬間を生きる
33.人生は有限であるという死生観、時間に対する緊張感、命に対する緊張感を持って生きる
34.時間こそ、かけがえのない財産だ
35.読書は、他人の人生70~80年が一冊に凝縮されている

 

36.全人生を賭けて伝えたメッセージを2~3時間の読書で受け取ることができる
37.絶対不可侵領域としての自己を確立し、どんな状態でもそれを貫くこと
38.人間は確実に死ぬ、死んだ後に君はどんなふうに人々に記憶されたいか
39.君の生きた証として、君はどんなふうに今、語るだろうか
40.人生の価値は、自分が自分をどれだけ信じたか、で決まる

 

本書は、七部構成で、向き合う対象を今、自分、社会、他者、仕事、人生、未来としている。それぞれで語られるメッセージはすべて繋がっており、「自分が主役の人生」ということだ。

 

志ある全ての世代の人々に、心から本書を推薦したい。