今回もちきりんさんの著書を紹介したい。本書は、人気の社会派ブログ 「Chikirin の日記」 がもとになり、外資系企業を退職後に、ちきりんさんが最初に書いた書籍だ。
これまでこのブログでも、新しい順に以下の3冊、ちきりんさんの著書を紹介してきた。本書はその 「考えよう」 シリーズのキッカケになったデビュー作だ。
1.『未来の働き方を考えよう』 (文藝春秋・2013年) <2013年11月16日ブログ>
2.『世界を歩いて考えよう』 (大和書房・2012年) <2014年10月15日ブログ>
3.『自分のアタマで考えよう』 (ダイヤモンド社・2011年) <2014年10月22日ブログ>
本書は、世の中の常識を鵜呑みにせず、人生を楽しく、ラクに過ごすためには、もうちょっとゆるく考えたほうがいいよね、というちきりんさんの信条を述べた書だ。
人口増加や経済成長が続いていた時代には、すべての人がよりどころにできる 「幸せの型」 があったかも知れない。滅私奉公で働く夫と家事と子育てに専念する専業主婦。
あるいは家族一丸となって商売に邁進する自営業家族など、まっとうな生き方やスタイルとして、周りの人と同じことを 「頑張って」 やっていれば、経済的にも報われてきた。
ところが今は、「頑張れば報われる」 という時代ではなくなった。それよりも、自分にとっての 「好き」、「楽しい」、「ラク」 を貫くほうが、何事もうまくいくんじゃないか、というのがちきりんさんの考えだ。
本書は、以下の5部から構成されている。
1.ラクに生きる
2.「自分基準」 で生きる
3.賢く自由に 「お金」 とつきあう
4.仕事をたしなみ、未来をつくる
5.ストレスフリーで楽しく過ごす
本書で提示される、さまざまなちきりん流の変わった考え方は、これまでの世の中の常識に挑戦する斬新な発想ばかりで、多くの若者の支持を得ている。ブログが人気を博し、本書が大好評で上記のシリーズ著作が後に3冊も出ているのも、そのせいだろう。
私が本書でとくに感銘を受けたのは、「3×3分割図」 による人生設計だ。まず、自分で人生をコントロールできる20歳から80歳を20年ごとに3分割する。
そして、仕事・家庭・趣味のどれに生活の時間配分をしているかを分割図で示したものだ。多くの人は、すべての年代で3つとも並行して時間配分することはできず、2つまたは1つを選択して生きている。
例えば、猛烈サラリーマンはほとんどが仕事で、一部趣味。子育て協力パパは仕事と家庭に配分、などだ。専業主婦は、家庭と趣味、仕事を持つ母親は仕事と家庭で趣味の時間は皆無になる。
その時間配分は、サラリーマンの場合、60歳で一変する。中心にあった仕事がなくなって家庭や趣味の配分だが、多くの猛烈会社人間は何をしてよいか分からなくなる。
本書の最後に著者の考え方の根底にある2つの原則が紹介されている。以下の2原則だ。
1.自由に生きる、誰かと比べられるのでも社会に評価されるためでもなく自分のために生きよう
2.モノは考えよう、世の中はいうほど暗くない、達観的に生きよう
つまり、自由に、そして楽観的に、人生を楽しみましょう!、ということだ。
自分の人生をいかにデザインして生きていくか、多くの発想のヒントを与えてくれる本書を、ぜひ多くの方々に推薦したい。