ソフトバンク創業30周年を迎えた2010年6月の株主総会の席上、代表取締役社長の孫正義は、「今日だけは大ボラを吹くことをお許しいただきたい。」と述べて、次の30年を展望した「ソフトバンク新30年ビジョン」を発表した。
ソフトバンク・グループ約2万人の社員が、1年間かけて議論して纏めた、次の30年間にめざすべきビジョン。孫社長は、自身のツイッター上でも、半年前よりフォロワーから広くアイデアを募った。
本書は、株主総会で発表された孫社長による「新30年ビジョン」のプレゼンテーションを完全テキスト化したものだ。
「情報革命で人々を幸せに!」が、第一のメッセージだ。
さらに300年後の世界を描き出し、その中でコンピュータが果たす役割の拡大や、人々の生活がどう変わるかを予測した世界の展望。そして、300年成長し続けるためのソフトバンクの成長DNAの披露。
まさに、「大ボラ」と呼ぶに相応しいくらいスケールの大きい、300年後世界の予測だ。ソフトバンクが何のために事業を行い、どのような世界を実現しようとしているのかを示した羅針盤。本書を読めば、そんな熱い思いを感じることだろう。
米国の時価総額ナンバーワンに登りつめたアップルの創業者、故スティーブ・ジョブズは、「世界を変えたい。」と言い続けて、世の中を、人々の生活を、根本から変える画期的な新商品を世に送り出し続けた。
日本で、ジョブズに並ぶ世界的なイノベーションを起こせる経営者がいるとすれば、それは孫正義をおいて他にいない。孫氏が率いるソフトバンクの壮大な夢が垣間見れる本書は、IT革命の未来を見通す意味で、必読の書と言えるだろう。