「誰でも簡単にできる “ 読む ” ということが実は一番難しい」と説いている本があります。本日紹介するのは、カリスマ編集者だった川辺秀美さんが書いた、こちらの書です。
川辺秀美『カリスマ編集者の読む技術』(洋泉社新書)
この本は、誰でもできる「読む」ということにフォーカスし、「読むことは確固たる技術である」ことを説いた書です。ベストセラーを何冊も世に送り出してきた敏腕編集者がプロの「読む技術」を明かしています。
本書は以下の5部構成から成っています。
1.読むコミュニケーション
2.読む術
3.あなたは本当に読めているか
4.プロの読み方
5.読書とは生きるためのコンセプトである
まず著者の川辺さんは、「私の人生は、常に活字の力によってつき動かされてきた」と述べています。本書によれば、本を読むことは大変難しく高度な技術であって、本当は教育プログラムとして教えられるべき科目、ということです。
しかしながら社会に出ても「読むこと」を教えてくれる研修はありません。「読む」という行為は、コミュニケーション一番初めの情報キャッチの役目をするわけで、ここで間違った情報把握をしてしまうと、後のアウトプットが大きくズレてしまうことになります。
これほど重要なのになぜ軽視されているのでしょうか、と著者は疑問を投げかけます。実は情報というものは各人にとってそれ相応の価値があるものであり、もし情報の受け皿が受け手に用意されていなければ、穴の開いた器のような状態になるのです。
つまり、受け皿となる「自分軸」というものがない限り、その溜め込んだ情報は永遠に無駄になります。「自分軸」とは、一つの計器みたいなもので、著者の場合は「仏教」、「空海」、「心理学」、「自己啓発」、「科学」、「ベストセラー」、「池波正太郎」といった7つの軸があるそうです。
私の場合は、このブログを分類している「コラム一覧」ということになるでしょう。少しジャンルが多いかもしれませんが、「ハワイ・健康・スピリチュアル」、「多読・速読・読書術」、「自分が主役の人生・働き方」など、「自分軸」を定めて読書をしています。
さて本書では、「読む」ということを以下の「3つのサイクル」と定義してします。
◆ 自分の思考を整理する
◆ 習慣化する
◆ 行動する
まずは「自分の思考を整理する」ということ、つまり自分の好き・きらいを整理したり、「自分軸」を設定したり、なんのために情報を取るのかを決めることです。
次に「習慣化する」ということで、日常生活の中にいかに「読書の時間」を組み込み、それを持続させていくかといった工夫です。
そして第三に、「行動する」とは、読む当初からアウトプットを前提に読書をし、それを日常生活に適用してみることです。どんな小さなことでもいいから、読書を性的なものから動的なものへ変えることが重要です。
「読むことはエンジンだ」と考えて頂きたい、と著者は述べており、私も「読書はターボエンジン」だと思っています。読書によって行動を加速させるべきです。
また本書では、速読よりも「多読」を薦めています。「多読」は走り込みのように基礎能力を獲得するものだからです。
「多読」は、様々な効用をもたらします。なぜなら、私たち人間は言語で考える生き物だからです。情報という海で生きていくには、語彙力と思考力が絶対的に必要です。
この基礎能力があればこそ飛躍でき、それはコミュニケーションとも関係してきます。「多読」にはコツコツと続ける習慣が必要ですが、そうした読書には以下の「3つの心得」が大切です。
1.頑張らない
2.オープンマインド
3.投資
そして、「読む」ことは「書く」ことに繋がり、さらに「伝える」ことにつながっていきます。
さらに「何のために読むか」ということが「多読」の意味を問うことになりますが、著者の川辺さんは次の「4つのジャンル」に絞ることを薦めています。
1.感動
2.生命
3.経済
4.娯楽
そして1日30分を読書にあて、月に10冊、年間120冊を読むことが「多読」の入り口としています。著者は、「年間300冊読んでいるという多読家であっても、“ 何となく ” 読んでいるということで、読むことの意味を答えられる人はいない」と述べています。
実は読書というのは、読んで吸収した情報を創造的なモノに変えるためにあるのです。P.Fドラッカーは著書『プロフェッショナルの条件』の中で、「知識という考え方が変わる」と述べています。
不確実性の時代に備えるものとして、著者は「読書」を薦めます。「読書経験」が創造につながることがあれば、読書というものの威力が実感として感じられることでしょう。
あなたも本書を読んで、「読む」ことの意味を考え、人生を変えていく実感を感じてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を