「超高齢化・人口減少社会での社会システムデザインを考える」というサブタイトルで、日本の社会保障制度の大改革を提唱する本があります。本日紹介するのは、小笠原泰・渡辺智之の両氏が書いた、こちらの書です。
小笠原泰・渡辺智之『2050 老人大国の現実-超高齢化・人口減少社会での社会システムデザインを考える』(東洋経済新報社)
この本は、根拠のない楽観的な議論ではなく、経済成長が期待できない超高齢化人口減少社会のもとで、構造的・論理的に現行の社会保障制度が維持できないことを出発点にしています。
そういう今では、霞が関の官僚が作成する社会保障制度の改革案や設計思想とは大きく異なる見解が示され、注目に値する書となっています。
本書は以下の6部構成から成っています。
1.出発点は現実の直視
2.麻薬としての経済成長信仰
3.2050年の日本の姿
4.福祉国家からナショナルミニマム国家への転換
5.ナショナルミニマム国家における社会保障システムとは
6.求められる英断
本書の出発点は、我が国の財政状況悪化の現状(国際比較)と、超高齢化・人口減少、社会保障費の将来推計といったデータに基づく厳しい社会環境です。
そこから導き出されるのは以下のような現実です。
◆ 2025年には「団塊の世代」が後期高齢期に入り終える
◆ 2050年には「団塊ジュニア世代」が後期高齢期に入り終える
◆ 2050年には貧困高齢者が1,000万人を超える
◆ 実質GDPは現在より4割落ち込み、国税収入の殆どを貧しい高齢者の生活保護で使い切る
◆ 国家の役割を限定し、国が提供するサービスを見直さなければ社会保障制度は破綻する
今後の超高齢化・人口減少を考えれば、「持続的な経済成長」はもはやあり得ません。そうした中で、現実的な社会保障システムをどう描くのか、が本書で述べてる中心テーマです。
フランスの歴代大統領の補佐官や顧問を務め、「フランスの知性」と呼ばれる経済学者・社会学者のジャック・アタリさんは、「財政赤字、景気低迷、大震災と原発事故の三重苦に苦しむ日本には、“ 2030年の日本はいったいどのような社会を目指すのか ” というビジョンが必要である。」と述べています。
ジャックアタリさんの言う2030年は、団塊の世代が2025年に後期高齢期に入り終えて社会保障コストの大きな波が来る時期という点で、妥当なタイムフレームかも知れません。
しかし、2030年が日本の社会保障制度にとって最も厳しい時期というわけではなく、実はその後も人口へ減り続け、人口ピラミッドの問題を考慮すれば、団塊ジュニアが後期高齢期に入り終える2050年までも展望しなければなりません。
そういう観点から本書では、2050年を見据えた「老人大国ニッポン」をどうしていくかを考察しています。
本書の結論は、以下の通りで、抜本的な「考え方」の見直しと、社会保障制度の改革です。
◆ 「福祉国家」から「ナショナルミニマム国家」へ転換する
◆ 以上の国家観の大きな転換を踏まえたドラスティックな社会保障制度のグランドデザイン改革を行う
◆ 経済的な豊かさBDPから、心理的幸福度GNH(国民総幸福量)を国民活動の目的に変える
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では、今日もハッピーな1日を!