「普通に言っているのに、なぜか動いてもらえない」― その違いは、“能力” ではなく “習慣” にあります。

本日紹介するのは、筑波大学心理学を学び、米コロンビア大学院国際広報を修了。ビーンスター株式会社代表取締役として、国内外の経営者や政治家、専門家にコミュニケーション指導を行ってきた鶴野充茂さんによる、こちらの書籍です。

鶴野充茂『上手に「指示できる人」と「できない人」の習慣』(明日香出版社)

「はぁ、わかりました……」伏し目がちに答える若手社員。丁寧に伝えたつもりなのに、締切は守られない。確認したはずなのに、期待した成果にならない。

本書は、そんな日常の “もどかしさ” の原因を、「指示の質」という観点から解き明かします。

指示とは、上司から部下への命令だけではありません。
同僚への依頼、上司への提案、顧客へのお願い ― 私たちは毎日、無数の「指示」を出しています。その質が、成果と人間関係を大きく左右するのです。

本書は、以下の5部構成から成っています。

1.あなたの指示が優先されるには? 編

2.「わからない」から前進できる人とできない人 編

3.上司や部外者を巻き込める人と巻き込めない人 編

4.リマインドがうまい人と下手な人 編

5.指示して喜ばれる人と嫌がられる人 編

 

本書の前半では、「なぜあなたの指示は後回しにされるのか」が掘り下げられます。主なポイントは以下の通りです。

◆ 指示は「内容」よりも「文脈」が重要

◆ 相手の優先順位に乗せる伝え方

◆ あいまいな言葉が混乱を生む

◆「普通に言う」は普通ではない

◆ 日頃の信頼残高が反応を決める

 

この本の中盤では、「わからない」「動けない」をどう突破させるかに焦点が当たります。指示は “完結した命令” ではなく、“思考を促す設計” だと気づかされます。主なポイントは次の通り。

◆「わからない」と言える空気づくり

◆ 目的とゴールの明確化

◆ 上司や他部署を巻き込む視点

◆ リマインドは追い込みではなく支援

◆ 途中経過を確認する仕組み

 

本書の後半では、「嫌がられない指示」の技術が語られます。ここが実践的で非常に参考になります。主なポイントは以下の通りです。

◆ 指示は相手の成長機会に変えられる

◆ 感謝とフィードバックの循環

◆ 失敗を責めない関わり方

◆ 立場を超えて動かす言葉の力

◆ 指示する人こそ最も学び続ける

 

読後に強く感じたのは、「指示」はリーダーだけの技術ではないということ。これからの組織は、上下関係よりも “横断的な協働” が鍵。だからこそ、立場を超えて人を動かせる力が必要です。

私自身、企業研修や講演で「伝え方」「動かし方」をテーマに話すことがありますが、本書はその土台となる実践知が体系化されています。とくに50代以降、マネジメントや社外活動が増える世代には必読の一冊です。

「指示」は命令ではない。未来をつくる “設計図” である。チームを動かしたい人、関係を良くしたい人、成果を上げたい人に、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。

コミュニケーション力やマネジメントについては、YouTubeチャンネル「大杉潤のYouTubeビジネススクール」でも解説しています。ぜひチャンネル登録もお願いします。

では、今日もハッピーな1日を!【4003日目】