書評ブログ

『長嶋茂雄が見たかった。』

昭和という時代が生んだ唯一無二のスター・長嶋茂雄。その“伝説”ではなく、実際に対戦した選手、同僚、先輩たちの証言により「実像」に迫るノンフィクションが出版されました。

オンタイムでプレーを見ていない著者が、まるで発掘作業のように、その凄さを時代の証人から掘り起こしていきます。

本日紹介するのは、立教大学野球部東京六大学優勝を経験後、編集者を経てスポーツライターとして活躍し、多くの野球ノンフィクションを手がけてきた元永知宏(もとなが・ともひろ)さんが書いた、こちらの書籍です。

元永知宏『長嶋茂雄が見たかった。』(集英社)

本書は以下の7部構成から成っています。

1.覚醒前 立教大学時代

2.スター誕生とV9時代

3.長嶋と戦ったセ・リーグのライバル

4.パ・リーグ王者が見たON

5.メジャーリーグと日米野球

6.長嶋は何がすごかったのか

7.長嶋茂雄になりたかった男――中畑清

 

本書の前半では、長嶋茂雄の立教大学時代の素顔、そして巨人でスターとして覚醒するV9時代が描かれます。主なポイントは以下の通りです。

◆ 92歳の佐々木信也氏をはじめとする当時の記憶の証言

◆ 「天才」ではなく、圧倒的努力家としての長嶋像

◆ V9巨人の中での絶対的存在感とスター性

◆ ファンを魅了した“魅せる野球”の原点

◆ 立教→巨人へのストーリーが作った“物語性の強さ”

 

この本の中盤では、長嶋茂雄を相手にしたライバルたちの視点から、その脅威と凄みが立体的に描かれます。主なポイントは以下の通りです。

◆ 田淵幸一氏が語る、捕手から見た“恐さと気迫”

◆ 松岡弘氏が明かす「どこに投げても打たれる理由」

◆ 阪急の福本豊氏・長池徳士氏が語るONの破壊力

◆ 他球団の投手・野手の証言に共通する「勝負強さ」

◆ “人気”と“実力”が完全一致した希有な存在としての長嶋

本書の後半では、「長嶋は何がすごかったのか?」という核心が語られます。主なポイントは次の5つです。

◆ 技術・成績・スター性が “三位一体” で突出した選手

◆ 勝敗の流れを変える “劇場型の存在感”

◆ 時代を象徴するヒーローとしての社会的影響力

◆ 戦後の日本にとって希望と元気の象徴だったこと

◆ 中畑清氏の「長嶋に憧れ続けた人生」の告白

本書は、記録でも映像でもなく、“証言”という最も生々しい情報源から長嶋の叙事詩を再構築した貴重なノンフィクションです。

「長嶋のことは知っているつもりだった」という読者ほど、新たな発見と驚きがあるでしょう。野球ファンには必読の一冊であり、“人を惹きつける力とは何か” を学ぶビジネスパーソンにも強くおすすめします。

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では、今日もハッピーな1日を!【3915日目】