「旅行ができないのも、マンションの頭金がないのも、収入が低いせいだと思ってるんだね……」――そんな一言から始まる、人生を変える家計管理物語があります。
本日紹介するのは、公認会計士・税理士であり、LEC会計大学院客員教授、元明治大学会計専門職大学院特任教授(いずれも管理会計)として活躍し、監査法人勤務を経て独立、現在は企業経営相談・講演・執筆活動を行う林總(はやし・あつむ)さんが書いたこちらの書籍です。
林總『麻衣子さんと学ぶ正しい家計管理』(すみれ書房)
この本は、ベストセラー『正しい家計管理』の著者による小説仕立ての「家計管理実践書」で、舞台は東京発新幹線のぞみ号の車内。赤字家計で悩む麻衣子さんが、偶然隣り合わせた謎の紳士・石丸氏から、財産目録の作り方、予算立案、生涯収支の見積もり、時間や空間の無駄の排除など、家計管理の根幹を学ぶ物語です。
本書は以下の8部構成から成っています。
1.見るべき数字は別にあるんだ――財産目録を作る
2.君は何歳まで生きるつもりかね?――生涯収支を出す
3.君の夢を教えてほしい――価値観を予算に反映する
4.預金は義務なんだよ――ふたつのリスクに備える
5.いちばん高コストなのは時間なんだ――時間、物、空間の無駄を意識する
6.そろそろ作業を始めよう――4つの表を作る
7.きっぱりやめようじゃないか――管理不能支出にメスを入れる
8.努力は必要ない。仕組みを作るだけ――予算を守れる管理法
この本の冒頭で著者は、「家計簿は重要じゃない。見るべき数字は別にあるんだ」と語り、家計を黒字化するのに必要なのは “収入アップ” ではなく、“管理の工夫” だと説きます。特に支出、つまり「お金をどう使うか」が最重要であり、「お金がかかる」ではなく「お金をかける」という前向きな言葉に置き換える思考法が紹介されています。
本書の前半では、「財産目録を作る」「生涯収支を出す」および「価値観を予算に反映する」について、以下のポイントを説明しています。
◆ 家計簿よりもまず財産目録を作り、全体像を把握する
◆ 生涯収支を予測し、長期視点で家計を設計する
◆ 自分や家族の価値観を明確にして予算に反映する
◆ 支出は“必要経費”と考えるのではなく、自ら“お金をかける”意識に変える
◆ 収入の多少よりも、管理の仕組みづくりが家計改善のカギになる
この本の中盤では、「ふたつのリスクに備える」「時間、物、空間の無駄を意識する」および「4つの表を作る」について解説しています。主なポイントは次の通り。
◆ 預金は義務であり、病気・失業など2大リスクに備えるために不可欠
◆ 家計において最も高コストなのは時間であり、無駄を意識的に減らす
◆ 時間・物・空間の浪費を見直し、効率的な生活動線を作る
◆ 「4つの表」(財産目録、生涯収支表、予算表、管理表)を活用して仕組み化する
◆ 管理は一度仕組みを作れば続けやすく、ストレスを減らせる
本書の後半では、「管理不能支出にメスを入れる」および「予算を守れる管理法」について考察しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 管理不能支出(浪費や衝動買い)を断ち切る勇気を持つ
◆ 予算を守るための仕組みを先に作り、努力や我慢に頼らない
◆ 家計管理の目的は「節約」ではなく「家族の満足度向上」である
◆ 1時間あたりの家族の満足度を上げることを最重要目標にする
◆ 家計管理は生き方そのものであり、幸福な時間を増やすための道具である
この本の締めくくりとして著者は、「限られた1時間を自分がもっとも価値をおいているものに集中させられたかどうかで、幸福度が決まるんだ」と述べています。つまり、やみくもに節約や貯金に走るよりも、家族が幸せでいられる時間を増やすために家計を整える――それこそが “正しい家計管理” の本質なのです。
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では、今日もハッピーな1日を!【3821日目】