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『静かな退職という働き方』

「会社を辞めるつもりはないものの、出世を目指してがむしゃらに働きはせず、最低限やるべき業務をやるだけの状態」、すなわち「働いてはいるけれど、積極的に仕事に意義を見出していない」という意味の「静かな退職」について紹介・解説している本があります。

 

本日紹介するのは、1964年東京生まれ、大手メーカーを経て、リクルートエイブリック(現リクルートエージェント)入社、新規事業の企画・推進、人事制度設計などに携わり、リクルートワークス研究所にて雑誌『Works』編集長を務めたのち、2008年にHRコンサルティング会社サッチモを立ち上げ、現在はサッチモ代表社員、大正大学表現学部客員教授海老原嗣生さんが書いた、こちらの書籍です。

 

海老原嗣生『静かな退職という働き方』(PHP新書)

静かな退職という働き方 (PHP新書)

静かな退職という働き方 (PHP新書)

  • 海老原 嗣生
  • PHP研究所
  • 価格¥1,210(2025/04/19 20:08時点)
  • 発売日2025/02/28
  • 商品ランキング841位

 

この本は、静かな退職を望む本人(従業員)と、彼らと対峙することになる周囲・上司・会社ー両方に対して、「静かな退職」を軟着陸させるための説明をしている書です。

 

本書は以下の8部構成から成っています。

1.日本にはなぜ「忙しい毎日」が蔓延るのか

2.欧米では「静かな退職」こそ標準という現実

3.「忙しい毎日」が拡大再生産される仕組み

4.「忙しい毎日」を崩した伏兵

 

5.「静かな退職」を全うするための仕事術

6.「静かな退職者」の生活設計

7.「静かな退職」で企業経営は格段に進歩する

8.政策からも「忙しい毎日」を抜き去る

 

この本の冒頭で著者は、「昭和→平成→令和という時代の流れの中で、社会は大きく変わってきました。そろそろ、日本人も頭の中を一変させましょう。」「この『静かな退職』こそ、当たり前の働き方であり、本人・周囲・上司・会社もそれを認知する時が来ています。」と述べています。

 

本書の前半では、「日本にはなぜ忙しい毎日が蔓延るのか」「欧米では静かな退職こそ標準という現実」および「忙しい毎日が拡大再生産される仕組み」について以下のポイントを紹介しています。

◆ 手を抜けば抜くほど「労働生産性」は上がる

◆ 業績に関係ない努力が信奉される異常な日本(ジャパニーズ・クオリティという揶揄)

◆「給料が高くて早く帰れることが一番」という欧州の労働観

◆ 全員一律で階段を上がる日本の「異常さ」

◆ シニアは歓迎され、若者が苦しむ欧米

 

この本の中盤では、「忙しい毎日を崩した伏兵」「静かな退職を全うするための仕事術」および「静かな退職者の生活設計」について解説しています。主なポイントは次の通りです。

◆ 本気で女性活躍を考えねば経営が成り立たなくなった2010年代後半の日本

◆ 明日のための投資より、今日の心証点稼ぎ

◆ 外注企業や営業顧客と仲良くする

◆ 丁寧な指導より「静かな指導」を望む後輩

◆ 老後の生活設計はWPPが基本

 

本書の後半では、「静かな退職で企業経営は格段に進歩するおよび「政策からも忙しい毎日を抜き去る」について説明しています。主なポイントは以下の通りです。

◆ 次の雇用延長は、このままなら悲劇を生む

◆「静かな退職」コースを導入して選ばせる(ラジアーの定理も支持)

◆ 欧州のように「高い給料・高い物価」でGDPを増やし、家庭内自活で出生率を上げる

◆「忙しい毎日」の礼賛をそろそろやめにする腹決めを

 

この本の締めくくりとして著者は、「本書は、ただのビジネス・ノウハウ本にはせず、私が雇用や人事関連で見聞きし、そして考えてきた『社会の構造』を余すところなく示せるように、との思いで作っています。」と述べています。

 

あなたも本書を読んで、「静かな退職」という働き方について、選択肢の一つとして考えてみませんか。

 

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では、今日もハッピーな1日を!【3688日目】

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