「私がこの本で書きたいのは、業者、プロ側の意見ではなく、消費者、住民という立場からの意見や考え方です。イチ消費者として考えたとき、中古不動産を買うことのリスクは何なのか。素人でも見分けられる判断のポイントはどのようなものなのか。そういった『業界知識をもたない、普通の消費者の目線』での意見を求める方もたくさん存在しているはず。そう思ってこの本を書きました。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、関西出身でバブル期に証券会社に就職し、その後、米国への大学院留学を経て外資系企業にて勤務、2011年から文筆活動に専念、「ゆるく考え、心地よく暮らし、自由に生きる」がモットーの社会派ブロガー・ちきりんさんが書いた、こちらの書籍です。
ちきりん『Vol.1 賃貸か購入か キンドル・リノベシリーズ』(ちきりんブックス)
この本は、30代で分譲マンションを購入し、リノベーションをした体験をまとめた『徹底的に考えてリノベをしたら、みんなに伝えたくなった50のこと』(ダイヤモンド社)という本に対する数々の質問に答える形で「キンドル・リノベシリーズ」として出版したキンドル本の第1弾です。
本書は以下の10部構成から成っています。
1.賃貸か購入か
2.「家を買うべき」といえる3条件
3.「積極的な理由」が不可欠
4.キャリアを縛るリスク
5.家を買うのは不動産投資ではない
6.不動産の高騰期に起こること
7.中古不動産の宿命
8.住民タイプがいちばん大事
9.借りてから買うという選択
10.高齢者は本当に部屋を借りられないのか
この本の冒頭で著者は、「本書は私の個人的な体験からの学びをまとめたものであり、戸建てよりマンションに、また、地理的には首都圏など、都市部での不動産を念頭に書かれています。」と述べています。
本書の前半では、「賃貸か購入か」「家を買うべきといえる3条件」「積極的な理由が不可欠」および「キャリアを縛るリスク」について以下のポイントを説明しています。
◆「賃貸か購入か」は、どちらが正しいかではなく、自分はどちらを選ぶべきか
◆ 家を買うべき3条件:➀経済的に無理なく買える、②購入したい積極的な理由がある、③自分や家族のライフプランが固まっている
◆ 購入価格の2割の頭金を貯められる人は、家計をコントロールできている人
◆ 物件価格が年収の5倍以内が経済的に無理なく買える金額
◆ 私のマンションの維持コストは、年間42.6万円(月額3.55万円)
◆ 家を保有する最大の価値は、「自分好みの家に住める」という価値
◆「得だから買う」ではなく、「すごく欲しい理由があるから高くても買う」こと
◆「ぜったいに家を買いたい理由」を言語化してみる
◆ 最低でも10年は住み続けるというメド(ライフプラン)が立ってていること
この本の中盤では、「家を買うのは不動産投資ではない」「不動産の高騰期に起こること」および「中古不動産の宿命」について解説しています。主なポイントは次の通りです。
◆ 自分が住む家の購入と不動産投資はまったく別物
◆「駅に近いから売れる、貸せる」はいつまで続くかわからない
◆ 不動産価格が高騰すると、バブル期は「職場までの時間」で妥協し、現在は「築年数」で妥協している
◆「マンションは管理を買え」はマンションの寿命、資産価値に直結するので正しい
◆ 中古マンションは、20年ごとに老朽化と時代についていけなくなるリスクがある
本書の後半では、「住民タイプがいちばん大事」「借りてから買うという選択」および「高齢者は本当に部屋を借りられないのか」について説明しています。主なポイントは以下の通りです。
◆「管理のよいマンション」は、100年持つように建てられている
◆ 大規模修繕の記録、修繕積立金の残高、日々の管理の質をチェックする
◆ 管理費の滞納、住民間のトラブルを議事録などで確認
◆ 住民の属性が自分に近いかどうか(不動産投資家、購入時期や年齢が離れた人がいないか)が重要
◆ 賃貸に出されている部屋を借りて住み、管理状態が気に入れば購入するという選択
◆ 集合住宅であるマンションでは、最大のリスクは「他の住民」
◆ 管理組合の判断が「自分にとって合理的か」は中古マンション選びに大切
◆ マンションの戸数(規模)は、マンション管理にも大きく影響する
◆ 仕事を辞めてから買う家は、働き盛りに買う家より遥かに安く済む(立地や広さで)
この本の締めくくりとして著者は、「こういう家に住みたい。でもそういう理想の家は、賃貸ではまず手に入らない」という具体的かつ積極的な、家を買いたい理由が出てきたときが「家を買うべきベストタイミング」だ、という結論を繰り返しています。
あなたも本書を読んで、「こんな家に住みたかった! 本当に幸せ!」と思える部屋を手に入れてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【3578日目】