「再開発に反対の声や違和感を口にする人たちが少なくないのはなぜだろうか。」「それは、これらの再開発の多くが『高層化』というスキーム、つまり高層ビルやタワーマンションの建設とセットになって成り立っているからではないだろうか。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、2024年0月20日にNHK総合テレビで放送された『NHKスペシャル』の「まちづくりの未来~人口減少時代の再開発は~ 」の制作チームであるNHKスペシャル取材班が書いた、こちらの書籍です。
NHK取材班『人口減少時代の再開発 「沈む街」と「浮かぶ街」』(NHK出版新書)
この本は、これからの日本が世界でも類のない人口減少時代に突入する中で、私たち一人ひとりが、長期的な視点で自分たちの暮らす地域を、どのような場所にしていくのかを問われていると問題提起をしている本です。
本書は以下の6部構成から成っています。
1.なぜ全国の都市で高層ビルによる再開発事業が進むのか
2.未曽有の再開発ラッシュから見える日本の ”今”
3.全国各地で顕在化する ”課題”
4.再開発をしたけれど・・・・・
5.ユニークなまちづくり地域の取り組みとは
6.まちづくりのあるべき姿とは
この本の冒頭で著者は、「本書を手に取っていただいた方々が、自身が暮らす街で進んでいる身近な再開発に関心を持つきっかけになってくれれば幸いである。」と述べています。
本書の前半では、「なぜ全国の都市で高層ビルによる再開発事業が進むのか」および「未曽有の再開発ラッシュから見える日本の ”今”」について以下のポイントを説明しています。
◆「再開発=高層化」の理由は、地権者の持ち出しなしで街を一新
◆ 賛否ある中、防災面の不安と魅力低下で再開発を進める秋葉原
◆ 九州全体から人を吸収する未曽有の再開発を進める福岡「天神ビッグバン」
◆ 聖地「吞んべ横丁」が取り壊される葛飾区立石の再開発
この本の中盤では、「全国各地で顕在化する ”課題”」および「再開発をしたけれど・・・・・」について解説しています。主なポイントは次の通りです
◆ 建設費高騰で計画を大幅見直しした福井市の再開発
◆ 全国122地区アンケート調査で7割超の91地区の再開発が建築費高騰の影響
◆ 再開発で子育て世代の人口が増加するさいたま市では学校や医療の現場がひっ迫
◆ 空室率が高止まりする東京・湾岸エリア
本書の後半では、「ユニークなまちづくり地域の取り組みとは」および「まちづくりのあるべき姿とは」ついて説明しています。とくに共感できるポイントは以下の通りです。
◆ 半世紀以上かけて街の文化や歴史を継承する世田谷区下北沢の再開発
◆ 補助金に依存しない開発の岩手県紫波町
◆ サッカーグランドなど「普遍的集客装置」をつくる
◆ テナントと賃料が決まってから施設を建設
◆ エリアの機能が充実してから分譲地の販売を加速
◆「タワマン規制」で面的なまちづくりをする神戸市
◆ まちづくりのあるべき姿:①都市圏ごとのゴール設定、②計画段階からの市民参加、③過密化影響の評価と予防策、④減築・修復型を支援する事業手法、⑤公共性を評価する仕組みづくり
◆ 地域の魅力を大切にした再開発を
この本の締めくくりとして、新たな時代の ”豊かな暮らし” を実現するために、街に何を残し、何を変えていくのかを、多くの人を巻き込んで考えていくべき時期だと指摘しています。
あなたも本書を読んで、人口減少時代の再開発について、改めて考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【3449日目】