「日本の貧しさが、さまざまなところで目につくようになった。アベノミクスと大規模金融緩和が行われたこの10年間の日本の凋落ぶりは、目を覆わんばかりだ。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、1940年生まれ、東京大学工学部卒業、大蔵省入省、イェール大学ph.D.取得、一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを歴任、現在は一橋大学名誉教授の野口悠紀雄さんが書いた、こちらの書籍です。
野口悠紀雄『プア・ジャパン 気がつけば「貧困大国」』(朝日新書)
この本は、日本の社会構造と産業構造が1980年代頃から変化していないことを指摘し、いま必要なのは補助ではなく、産業構造と社会構造を変革すること、そしてそれを支える人材を育成することを提唱・解説している書です。
本書は以下の7部構成から成っています。
1.気がつけば、「プア・ジャパン」
2.昔はこうでなかった
3.これから賃金は上がるのか?
4.増大する財政需要と政治家の無責任
5.デジタル化の遅れが日本の遅れの根本原因
6.高度人材を日本に確保できるか?
7.日本再生のエンジンは、デジタル人材
この本の冒頭で著者は、外国オーケストラの講演も i Phone も日本人には「高くて手が出ない」と述べています。
本書の前半では、「気がつけば、プア・ジャパン」および「昔はこうでなかった」について、以下のポイントを説明しています。
◆ 値段が安いより賃金が低いことが問題の日本
◆ インバウンドの急増は「プア・ジャパン」の象徴
◆ 中国工業化に円安と補助金で対処した誤り
◆ 日本の賃金停滞は30年続いている
◆ 賃金停滞の基本要因は技術開発の停滞
◆ デジタル化の遅れが、サービス収支赤字の要因
◆ 家庭用電気機器の対中赤字
◆ テレワーク、再生可能エネルギー、5Gで中国依存
この本の中盤では、「これから賃金は上がるのか?」および「増大する財政需要と政治家の無責任」ついて解説しています。主なポイントは次の通りです。
◆ 実質賃金は上昇しない
◆ 生産性が上昇しないから賃金は上昇しない
◆ 医療・介護が最大の産業になる
◆ 円安が続くので、実質賃金は低下したまま
◆ 人口高齢化で年金財政は悪化する
◆ 年金支給開始年齢引き上げが不可避になる
◆ 2040年代前半に厚生年金が破綻する
◆ 正当化できない防衛費増額の財源措置
本書の後半では、「デジタル化の遅れが日本の遅れの根本原因」「高度人材を日本に確保できるか?」および「日本再生のエンジンは、デジタル人材」について考察しています。主なポイントは以下の通り。
◆ インターネットに対応できない日本の縦割り社会
◆ 日本の産業は「データ資本主義」に移行していない
◆ AIが単純労働を代替する
◆ マイナンバーの利用対象拡大
◆ 経済パフォーマンスの悪化の要因は人材
◆ 高度専門家を厚遇しない日本企業
◆ 日本企業は高度人材を引き止められるか
◆ 日本では高度専門家が正当に評価されていない
◆ 日本再生のエンジンは、デジタル人材
◆ 日本は修士進学率が非常に低い
◆ ジョブ型雇用への転換が必要
◆ 社会制度の改革が必要
この本の締めくくりとして著者は、「政府の役割は、企業間の労働移動を円滑にするような仕組みを提供することだ。」と述べています。
あなたも本書を読んで、「経済先進国」から「衰退途上国」へ転落した日本の理由と復活策を学び、実践してみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【3241目】