「年齢など気にする必要はない。」「私自身、現在86歳だが、そのことでなにかを決めたり、諦めたりすることはない。そもそも年齢のことなど、意識することがないのだ。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、1936年生まれ、早稲田大学教育学部国語国文科を卒業してNHKに入局、女性トップアナウンサーとして活躍後、フリーになって民放キャスターを経て、文筆活動(ジャンルはエッセイ、評論、ノンフィクション、小説など)に入り、公益財団法人JKA(旧・日本自転車振興会)会長を歴任し、日本旅行作家協会会長で、作家の下重暁子さんが書いた、こちらの書籍です。
下重暁子『老人をなめるな』(幻冬舎新書)
この本は、「年寄り差別」「延命治療は不要」「触診してもらえない」など、日本のタブーを一刀両断に切り捨てている書です。
本書は以下の5部構成により成っています。
1.なぜ日本は高齢者にとって住みづらくなったのか
2.身体が不自由なときは、頭を使う
3.「年寄り」にならない人はいない
4.年を取るほど、お金は重要
5.高齢者よ、街に出よ!
この本の冒頭で著者は、「年寄りは賃貸マンションも借りられない」という日本の年寄り差別の実態を紹介して嘆いています。
本書の前半では、「なぜ日本は高齢者にとって住みづらくなったのか」について、以下のポイントを説明しています。
◆ 晩年だからこそ、好きな部屋で暮らしたい
◆ 年寄ほど都会に住んで多くの人と関わるのが元気の秘訣
◆ 田舎暮らしの理想と現実にはギャップも
◆ エスカレーターの速さに、多くの高齢者は恐怖
◆ 冷たい飲み物は免疫力を下げる
◆ 自販機は要らない、特に照明は景観を損なう
◆ 修理して使い続けるという豊かさ
◆ 高齢者の運転ミスばかり取り上げるな
この本の中盤では、「身体が不自由なときは、頭を使う」および「年寄りにならない人はいない」について、考察しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 医者選びを間違えると、命取りになる
◆ 日本の介護の現場は、一部の奇特な人の善意に頼る仕組みになっている
◆「子どもが親の介護をするのは当然」ではない
◆「子どもは社会の宝」で、親が独占すべきでない
◆ 生きることの目的は自己表現、施設でも叶えられるべき
◆ デイサービスは介護する家族の息抜きが目的
◆「延命治療はすべきではない」に異議あり!
◆ 加工食品に含まれる添加物は、認知症の原因になるとの疫学研究
◆ スマホの代わりに、年寄りの知恵を活用せよ
◆ 読書で得られる知恵も高齢者の知恵に匹敵する
◆ 年寄りは自分の経験や知識を情報発信すること
◆ 若者も引き入れないと高齢者のみの「集い」は消滅する
本書の後半では、「年を取るほど、お金は重要」および「高齢者よ、街に出よ!」について、著者の見解を紹介・解説しています。主なポイントは次の通り。
◆ 年を取ると、お金は大事
◆ 特殊詐欺は日に日に進化している
◆ 淋しい年寄りが特殊詐欺に引っかかる
◆「お金を増やそう」と欲をかくと、必ず損をする
◆ コロナのしわ寄せは年寄りに集中
◆ 無差別殺傷事件など「拡大自殺」への対処を
◆ 親は引きこもりの子供を放り出せ
◆ 80歳で引退するのはまだ早い!
あなたもこの本を読んで、高齢者差別の実態を知り、少子化の中で社会の担い手になっていく高齢者の役割を改めて考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2922日目】