「私は、いよいよ『老いの一徹』とでもいうのか、キライなものはすべてブッ飛ばし、スキなものはナメてもいいほどいとおしくなる、というほど『好き嫌い』がはげしくなった。困ったことである。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、1924年生まれ、5歳の時、松竹映画『母』で子役デビュー、以後、『浮雲』『二十四の瞳』『名もなく貧しく美しく』など300本を超える映画に出演、文筆にもすぐれ、『私の浮世日記』で日本エッセイスククラブ賞を受賞するなど多数の著者がある高峰秀子さん(2010年逝去)が書いた、こちらの書籍です。
高峰秀子『いいもの見つけた』(中公文庫)
この本は、著者の身の回りにはべって、著者を慰め、励まし、助けてくれた、愛すべき親衛隊たちの苦労をなんとなく読者の皆さんに紹介している書です。
本書は以下の4部構成から成っています。
1.まえがき
2.いいもの
3.三分以内で作れるお酒の肴
4.あとがきに代えてー亡き母・高峰秀子に捧ぐ
この本の冒頭で著者は、「ポチポチ書いた雑文が、チリも積もれば山となった。」「チリの山は立派な表紙をつけていただき、晴れがましくも、世間の目を見ることになった。ありがたいことである。」と述べています。
本書の中核として紹介されている著者・高峰秀子さんの選んだ「いいもの」の中で、とくに私の印象に残り、感銘を受けたものは以下の通りです。
◆ スーツ(2着でスマートに)
◆ スカーフ(スーツのアクセサリーはスカーフ一辺倒)
◆ まいまいつぶろ(飾り棚にガラス製2匹)
◆ ガラスの風鈴(骨董品の魅力)
◆ 小さな辞典(主人の分身)
◆ 時計(40年間の無遅刻、無欠勤を支える親衛隊)
◆ 本入れ(ドイツ生まれ)
◆ 貯金箱(小銭の扱いが下手)
◆ 枕と孫の手(母のセンスで昼寝用)
◆ 手のノッカー(日本にはないもの)
◆ 水時計(ちょうど3分で白い玉が上がる)
◆ スライドメモ(かみくずにならない)
◆ ガーゼのバスタオル(軽く、柔らかく、乾きやすいので何でも使える)
◆ モーニングカップ(朝の時間に会話)
◆ 岡持ち(置き忘れる恐れのあるものを入れる)
この本の終盤には、「三分以内で作れるお酒の肴」が記されていて、著者の普段の生活が垣間見られて親近感とともに、ほほえましく感じます。
本書に出会ったのは、最近読んだ『絶対悲観主義』(講談社+α新書)の中で著者の楠木建さんが、尊敬する生き方をしている人として、高峰秀子さんを挙げていたからです。
この本の巻末には、「あとがきに代えてー亡き母・高峰秀子に捧ぐ」が掲載されています。とくに「高峰秀子はセンスがいい。」という書き出しは印象的です。
本書は、高峰秀子さんの生き方が集約されているようで、豊富な写真も掲載されていてイメージが湧いてきてお薦めです。
あなたもこの本を読んで、センスのいい生き方を考えるヒントにしてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2868日目】