「私自身も60代に入り、自分がこれからどんなふうに歳をとっていきたいかを考えるようになりました。そして、『こんな老人になりたい』という三つのモデルが、自分の中で明確になってきました。」「私がなりたいのは、『品のある老人』『賢い老人』そして『おもしろい老人』です。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、1960年大阪府生まれ、東京大学医学部卒、東京大学医学部付属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学学校国際フェローを経て、現在は精神科医、国際医療福祉大学大学院教授、川崎幸病院精神科顧問、和田秀樹こころと体のクリニック院長で、30年以上にわたり、高齢者医療の現場に携わっている和田秀樹さんが書いた、こちらの書籍です。
和田秀樹『老いの品格 品よく、賢く、おもしろく』(PHP新書)
この本は、これまで老年精神科医として、6000人以上の高齢者を診てきた著者が、自分が「こうなりたい」と思う高齢者の姿とはどんなものかを伝え、読者のみなさんにとって「幸せに歳をとるためのヒント」にしてもらうための書です。
本書は以下の7部構成から成っています。
1.プロローグ こんな老人に私はなりたい
2.老いることにジタバタしない人には品格がある
3.加齢を怖がる必要はない
4.常識に縛られない、おもしろい老人になろう
5.お金や肩書きへの執着を捨てる
6.「だてに歳はとっていない」と誇れる老人になろう
7.すてきな高齢者になるために必要なこと
この本の冒頭で著者は、「お金や地位があるだけでは幸せな老人になれない」「何を得たいかより、どう生きたいか」が本当にしあわせになる鍵だ、と述べています。
本書の前半では、「こんな老人に私はなりたい」および「老いることにジタバタしない人には品格がある」について、以下のポイントを説明しています。
◆ 高齢になれば、お金や地位ではなく、本当にしたい仕事や生き方を選ぶ自由が手に入る
◆ 何を得たいかではなく、そう生きたいかを考える
◆ 高齢者専門の意思であることが、私の生き方に影響を与えている
◆ 老いと闘える間は闘い抜く
◆ 85歳を過ぎでアルツハイマー、がん、動脈硬化が生じていない人は一人もいない
◆ 歩けなくなると行動範囲が狭くなるので、毎日散歩を楽しむようにしたい
◆ できなくなったことを悲観せず、できることを大切にして活かす
◆ 85歳くらいまでは、ほぼ問題なく歩き、頭もしっかりして社会生活を送れる
この本の中盤では、「加齢を怖がる必要はない」「常識に縛られない、おもしろい老人になろう」および「お金や肩書きへの執着を捨てる」について、著者の経験・知見を紹介・解説しています。主なポイントは次の通り。
◆ 認知症=何もわからなくなるは誤解
◆ 不安を取り除くのではなく、不安を抱えたままどう生きるかという「森田療法」
◆ 認知症とともに生きるには「できること」を維持すること
◆ 高齢期のがんは、排除するより共存して生きる
◆ 高齢になったら、転倒しないことや、食事をしっかり摂ることが数値より大事
◆ 飲めば長生きできる薬などない
◆ セロトニンの働きを増強する「SSRI」は高齢者には効くことがある
◆ 自分の考えをアウトプットすることが、高齢者にはとくに重要
◆ 予期不安が強いわりに、なったときの対策を考えていないのが日本人の弱点
◆ 物知りよりも、知識を加工する能力が大事
◆ 知識を加工して「自分の考え」としてアウトプットして議論するのが「賢い老人」
◆ 正解を決めつけるのではなく、いろいろな可能性を考えられる人は人間の幅が広い
◆ 人生経験が豊富で、思考の幅が広い人がすてきな高齢者
◆ 自分自身が続けられる限り仕事人生は終わることなく、ピークはあとに来る
◆ やりがいのあること、世の中のためになること、人の役に立つことのために働けるのが高齢期
◆ 働き続ける現役だけでなく、「現役の消費者」であり続けることも大事
◆「人間、死んでからだよ」
◆ 死んでから残るようなことをするほうが意味がある
◆ 墓より金より名前を残す
◆ 自分のお金をどう使うか、どう名前を残すかということに頭を使う
本書の後半では、「だてに歳はとっていないと誇れる老人になろう」および「すてきな高齢者になるために必要なこと」について考察しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 世の中にただ一つの正解といえるものはそうそうなく、いろいろなパターンがありうる
◆ 変節と言われることを恐れる必要はない
◆「人生いろいろ」で多様性を認める
◆「やってみないとわからない」精神で、チャレンジしてみる
◆ 高齢期こそ、「長い目で見る」力を鍛える
◆「なりたい」ではなく、「こうありたい」と考える
◆ 人生のピークは後ろのほうがいい
◆ 洒脱な老人「高田純次」的な生き方を目指す
◆「成熟した依存」ができる人になる
◆ 人に頼るかわりに自分は何ができるかを考える
◆ 感情は豊かに、でも感情的にはならない
◆「そうなろう」という意識をもって生きる
この本の締めくくりとして著者は、老年医学の道に入ることで、「多くの老いを見ることができ、人生観が変わりました。」と述べています。具体的には以下のことがわかって、生きる方向性を変えることができた、と言います。
◆ 上に媚びて出世しても晩年はその上の人が先に亡くなり、下の人に嫌われているので孤独になりがち
◆ 肩書きにこだわらず、なるべく下の人を大事にしよう
◆ 人生のピークは後ろにもってきたほうがいい
あなたも本書を読んで、品よく、賢く、おもしろくという「老いの品格」を心に刻んで、70代、80代を安心・快活に生きてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2790日目】