高齢者のための医療・福祉施設にて長年高齢者を見てきた臨床体験から、「ある年齢を過ぎたら、仕事に邁進するよりも、自分で楽しいと感じられる時間を多く持てることのほうが、老後の幸せにつながるのです。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、1960年生まれ、東京大学医学部卒業、国際医療福祉大学大学院教授、川崎幸病院精神科顧問、「和田秀樹こころと体のクリニック」院長で、精神科医の和田秀樹さんが書いた、こちらの書籍です。
和田秀樹『60代から心と体がラクになる生き方-老いの不安を消し去るヒント』(朝日新書)
この本は、次のような高齢者の実像と、心と体をラクにして生きていくための秘訣を紹介している書です。
◆ 高齢者は血圧や血糖値を下げ過ぎると活力がなくなる
◆ 85歳を過ぎで脳にアルツハイマー型の変化が起きていない人はほとんど存在しない
◆ 認知症が進行すると多くの人が多幸的になる
◆ 高齢になるほど心と体の結びつきが強くなり、どちらかの具合が悪くなるともう一方の具合も悪くなる
本書は以下の5部構成から成っています。
1.「人は人、自分は自分」の幸せがかなう高齢期の素晴らしさ
2.「老いの不安」とのつき合い方
3.老いを知る、受け入れる
4.高齢者が生きづらい日本社会
5.心をラクにして生きる方法
この本の冒頭で著者は、老後はつらいものというのは幻想で、不安に思うこと(健康問題、経済問題、生きがい問題、住まい・生活問題、つながり問題など)はほとんど起きない、と述べています。
本書の前半では、「幸せがかなう高齢期の素晴らしさ」および「老いの不安とのつき合い方」について、以下のポイントを説明しています。
◆ 老後こそ、世間の尺度にとらわれず自分が本当にやりたいことをやるべき
◆ 人と比較するのをやめれば満ち足りた幸せが訪れる
◆ しんどい社会から距離を置く
◆ 85歳になれば半数はアルツハイマー型認知症、受け入れること
◆ 認知症は大半が多幸的になる
◆ 認知症では「自己有利の法則」で、つらい記憶は忘れ、いい記憶だけが残る
◆ 認知症では、「その人の最もいい時代」に戻る
◆ お金の不安は「差」を気にするから生まれる
◆ 人間は「参照点」と現在との差に反応する生き物
◆ 将来のお金のことより、気をつけるべきは心の病
◆ 高血圧、高血糖は動脈硬化に対する適応現象
◆ 切らないほうがよい「がん」も多い
◆ 血圧の数値を下げることより快適性を求めよ
この本の中盤では、「老いを知る、受け入れる」および「高齢者が生きづらい日本社会」について考察しています。主なポイントは次の通り。
◆ 男性が意欲を失うのはホルモン(テストステロン)の減少
◆ 頭を使い続ければ、認知症の進行が遅くなる
◆ 認知症は徐々に発症する老化現象
◆ 日常生活を続けることが認知症の進行を食い止める
◆ 認知症よりはるかにつらい「老人性うつ病」(悲観的・絶望感・意欲低下・便秘)
◆ 日本の病理①「一律好き」
◆ 日本の病理➁「根性論」
◆ 高齢者向けサービスが貧困な日本
◆ 相続税100%が日本の財政問題を解決する
◆ デフレ経済によって高齢者は贅沢を感じられる
本書の後半では、「心をラクにして生きる方法」について、次の通り解説しています。
◆「勝ち負け意識」を捨てた先に真の充実感が味わえる
◆ 面白いか、面白くないかを人生の判断基準にする
◆ 時間を忘れるくらい熱中するものを見つける
◆ 好きなこと、興味があることをとりあえずはじめる
さらに締めくくりとして著者は、「心をラクにして生きる5つのポイント」を以下の通り紹介しています。
1.老後に対する不安はほとんどが幻想で、楽しいこと、好きなことに取り組むことで不安はなくなる
2.一人ひとりの老後がある
3.認知症を「恐れないこと、できることにフォーカスする
4.肩書き、地位など俗なるものと適度な距離を取る
5.自分が本当に熱中できるものに取り組む
あなたも本書を読んで、老いの不安を消し去るヒントが満載の「60代から心と体がラクになる生き方」を実践してみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2584日目】