2021年4月1日施行される「70歳までの活躍の場確保法」(=著者による呼称)を機に、「シニア社員は、いざとなったら会社に依存しなくてもやっていける準備を現役時代のうちにし、会社から離れて自らの足で走りだすこともできる『自走力』をつけておくこと」と提唱している本があります。
本日紹介するのは、1957年生まれ、大分大学経済学部卒、日本生命相互会社に入社し、25年にわたり法人・個人分野のFPコンサルティング部門に従事し、慶應義塾大学大学院講師などを歴任、現在は株式会社星和ビジネスリンク取締役専務執行役員、日本FP協会特別顧問、一般社団法人定年後研究所所長の得丸英司さんが書いた、こちらの書籍です。
得丸英司『「定年後」のつくり方 ~ 50代から始める「自走人生」のすすめ』(廣済堂新書)
この本は、ポストコロナ時代を生き抜く中高年のための「新しい居場所づくり」の指南書で、50代からの「自走力」をつけるための準備を推奨している書です。
本書は以下の6部構成から成っています。
1.定年後の居場所は「自走力」で決まる
2.もはや「定年」はリタイアではない
3.定年3.0-50歳からの意識改革
4.「自分を知る」-自走人生の準備はここから始まる
5.自分だけの「定年後」をつくる
6.「自走人生」に備える-50代からのマネープラン
この本の冒頭で著者は、著者が所長を務める定年後研究所が設立された背景は、前例のない「定年3.0」の時代がやってくるという認識だった、と述べています。
定年後=老後であり、余生であった昭和を「定年1.0」とし、寿命が延びて高齢社会が到来するとともに年金支給開始年齢の繰り下げ、雇用・定年延長により不安が増していった平成を「定年2.0」と呼ぶのに対して、人生100年時代と言われてさらなる雇用・定年延長が求められ、一人ひとりが定年後の収入と働きがい・生きがいを自ら求め模索していく令和を「定年3.0」と本書では解説しています。
この本の前半では、2021年4月1日施行される改正高年齢者雇用安定法(著者の呼称では「70歳までの活躍の場確保法」)により就業機会の選択肢が広がり、フリーランス転身や起業のチャンスが膨らむことが説明されています。
但し、定年後研究所のアンケート調査によれば、70歳定年の歓迎派は約4割で、70歳まで働くことに不安を感じる人は96%超という驚きの結果が紹介されています。
本書の中盤では、定年後研究所がシニア社員のためのセルフ・ラーニングシステムとして提供する「キャリア羅針盤」の概要が説明されています。興味ある方は、ぜひこの本を手に取って詳細をお読みください。
続いて、自走人生の出発点として「自分を知る」こと、および自分だけの「定年後」をつくる先駆者たちの事例が紹介されていて参考になります。
とくに、政府も後押しするリカレント教育の実践例として、定年後研究所がトライアルで実施した「京都リカレントステイ」は、リカレント(学び直し)だけでなく、フィールドワークを通じて地域課題の解決に取り組む中で、定年後の「自走人生」を考えるヒントを得られるという画期的なプログラムです。
本書の終盤では、「自走人生」に備える50代からのマネープランについて考察しています。金融庁の報告書で注目を集めた「老後2000万円問題」が老後マネープランを考えるきっかけになりました。
この本では、老後マネープランを考える際に重要なキーワードとして「逆算力」を挙げています。これは老後の生き方、過ごし方、ライフスタイルから逆算して、人生の早い段階から資産運用などのマネープランを考えていくということです。
参考文献として『資産寿命を延ばす逆算力』(鈴木ともみ著・シャスタインターナショナル)を紹介しています。
さらに、我が家の「損益計算書」および個人版「バランスシート」を作ることを提唱しています。決算の「見える化」が生涯設計の第一歩になるのです。
つまり、マネープランを作ることはライフプランを組み立てることにほかならず、私もまったく同感です。
あなたも本書を読んで「定年後」のつくり方を学び、50代から「自走人生」を始めてみませんか。
ビジネス書の紹介・活用法を配信しているYouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』の「紹介動画」はこちらです。ぜひ、チャンネル登録をしてみてください。
では、今日もハッピーな1日を!【2503日目】