本日も、3日連続となるが、速習セミナーを主宰する園善博氏の著書を紹介したい。本書は、園氏の最新刊で、セミナー受講者の中でなかなか成果が出ない人に向けて書いた、メッセージの書だ。
著者が主宰する 「速習セミナー」 は、「速く読めて、しかも忘れない勉強法」 だが、すぐに多読ができるようになって仕事や資格試験などで結果を出す人が続出する一方、なかなか成果が出ない受講者もいる。
その違いを、園氏は電話相談事例やフォローアップの経験から分析した。結論から言えば、その差は、「継続力」 と 「習慣」 にあった。
本書は、セミナーで学んだことを習慣として継続かするための 「大切な4日間」 のレッスンについて書いたものだ。まず冒頭で、著者は次の言葉を紹介している。
1.心が変われば行動が変わる
2.行動が変われば習慣が変わる
3.習慣が変われば人格が変わる
4.人格が変われば運命が変わる
この言葉は、米メジャーリーグ球団のヤンキースで活躍した松井秀樹選手が座右の銘としていたことで知られている。星陵高校・野球部時代の恩師だった山下智茂監督から授かった言葉だそうだ。
出典は、ヒンドゥー教とも、米国の心理学者ウィリアム・ジェームスとも言われている。行動を起こし、習慣を変えることができれば、運命を変えるほどの大きな結果を手に入れることができる、という教えだ。そのためには、 「心構え」 がすべての原点だ。
本書によれば、結果が出ている人は以下の4つの習慣を続けている。
1.目的を持つ
2.集中して時間を使う
3.上手に覚えて、しかも忘れない
4.自分で考える
習慣とは、「そうするのが当たり前のようになっていること」 だ。「習慣は第二の天性なり」という言葉がある。習慣の力はとても大きく、生まれつきの性質と変わらないほど日常の行動に影響を及ぼす。
言い方を替えれば、「継続すること」、「習慣にすること」 でしか、天性に勝ることはできない。
本書の構成は、上記の1~4の習慣について、4日間でいかにして身につけるかを章を分けて記している。まず1日目の「目的」について、本田宗一郎は 「行動には常に動機があり、目的がある」 という言葉を残している。
また、心理学者のアルフレッド・アドラーは 「人間の行動にはすべて目的がある」 と説いている。読書にあてはめれば、「何のために、この本を読むのか」、「この本から、自分は何を学びたいのか」 を明確にすることが大切だ。
次に2日目の 「集中力」 について、著者は 「集中力は環境や条件によって左右される」 としている。集中力のある人は、集中力を高める方法を知っているだけで、人間の能力には差はない。
また、THR(やる気ホルモン)を出すことで集中力は高まり、それは ①6時間以上の睡眠、②運動、③噛む、の3つによって分泌される。
3日目の 「記憶」 については、期間をおいて繰り返し復習することがポイントだ。認知心理学では、これをレミニセンス現象と呼ぶ。ワーキングメモリを高めたり、エピソード記憶を使って、短期記憶を長期記憶に移すことだ。
最後4日目の 「自分で考える」 ことについては、全体を俯瞰して概要を掴むことが重要だ。読書にあてはめると、以下の4つの手順となる。
1.目次を読む
2.目的を明確にする (キーワードを決める)
3.パラパラ読みをする (印をつける)
4.「印をつけた部分」 だけ読み返す
また、自分の知識レベルに合った本を選ぶことも大切で、それは次の方法で行う。
1.表紙を読む
2.目次を読む
3.「まえがき」 と 「あとがき」 を読む
そして読み方のコツとして、以下のリーディング法を推奨している。
1.スキミング・リーディング (キーワード拾い読み)
2.クリティカル・リーディング (批判的読書法)
ソクラテスは言っている、 「書物を読むということは、他人が辛苦してなしとげたことを、容易に自分に取り入れて、自己改善をする最良の方法である」
本書の最後に、多読のメリットとして次の5つを挙げている。
1.コミュニケーション力が高まる
2.問題解決力がつく (自分のアタマで考える力がつく)
3.表現力が豊かになる (アイデア力がつく)
4.論理力がつく
5.柔軟性が身につく (多様性を学べる)
本書は、カリスマ講師である園善博氏のセミナー集大成とも言える書だ。読書によって人生を変えようとしている前向きな人々に心から推薦したい。