障害者雇用に成功する企業のちょっとした工夫や心構えを中心に、障碍者雇用に興味のある企業経営者や人事担当者、そして障害者と共に働くビジネスパーソンに向けて書かれた本があります。
本日紹介するのは、1976年生まれ、「脳性麻痺による脳厳原両上肢機能障害(2級)」という障害を持って生まれ、法政大学卒業後、都内老舗ホテルに入社、その後障害者採用で転職し、現在は「全国・講師オーディション2015」にて奨励賞を受賞、障害者雇用の啓発活動を行っている紺野大輝さんが書いた、こちらの書籍です。
紺野大輝『会社を変える障害者雇用:人も組織も成長する新しい職場づくり』(新泉社)
この本は、「障害があっても、障害がなくても、採用や雇用をするうえで大切なことは変わらない」ことを一貫したメッセージとして伝えるための書かれたものです。
本書は以下の6部構成から成っています。
1.働くことで障害者の「私」はどう変わったか
2.経営戦略としての障害者採用
3.募集・選考・定着支援の秘訣
4.徹底して「個」に向き合うマネジメント
5.多様な人材が輝く組織づくり
6.知っておきたい、障害者雇用の法律と知識
この本の冒頭で著者は、障害児として生まれた自らの経験を学生時代から仕事を見つけ、現在の仕事に辿り着くまでの変遷を紹介しています。
続いて、経営戦略としての障害者雇用について、「なぜ今、障害者を雇用すべきなのか」という背景として、次の4点を挙げています。
◆ 労働人口の減少
◆ 働き方改革の推進
◆ ダイバーシティーの実現
◆ 世界的な障害者インクルージョンの動き
こうした時代背景のもとに、本書では加えて、障害者採用におけるポイントを、以下の通り説明しています。
◆ 数合わせでない障害者雇用の価値
◆ 障害者雇用は経営戦略
◆ 会社が変われば、社会が変わる
上記の「障害者雇用」が経営戦略になり、会社が変わる「具体的プロセス」を著者は以下のフローで示しています。
◆ 障害者を雇用する
◆ 業務フローや会社制度、働き方を見直すきっかけが生まれる
◆ 新製品の開発、働き方改革、ダイバーシティ推進に繋がる
◆ 業績アップ、生産性向上、風土改革といった結果が出始める
◆ 利益を社員に還元、給与・ポスト・やりがいのある仕事が増える
◆ 会社の魅力が増し、障碍者を含めた採用にプラス
◆ 障害者を増員する
このような好循環が生まれ、経営戦略の一環として「障害者雇用」を考えるのが成功している企業には共通している、ということです。
この本の中盤では「障害者雇用」の募集・選考・定着支援の秘訣が「障害者をタブー視しない人事」の観点から説明されています。
また、徹底して「個」に向き合うマネジメントが管理職に求められることが、ポイントを整理して解説されています。
本書の後半では、障害者採用をきっかけに社風が変わり、多様な人材が魅力的な組織をつくることを具体的事例を挙げながら説明しています。
最後に、知っておくべき「障害者採用の法律と知識」が整理されていて参考になります。
新型コロナウィルス感染症の拡大で世界中の企業が経営危機に直面しています。ダイバーシティ(多様性)が組織を強くし、持続可能にしていくことを、今多くの企業が感じているでしょう。
あなたも本書を読んで、人も組織も成長する新しい職場づくりとして、「障害者雇用」について深く学び、会社で実践してみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!