「東京都は今でも面積や境界が変わる可能性をおおいに秘めている」「地形と境界という面から見ても、東京は今も変化し続けている」と述べて、東京の地理と歴史を「境界」の面から考察している本があります。
本日紹介するのは、地理、地図研究家で、日本地図学会会員の浅井健爾さんが書いた、こちらの新刊書籍です。
浅井健爾『東京23区 境界の謎』(自由国民社)
この本は、東京オリンピックが56年ぶりに開催される2020年に、改めて世界から「Tokyo(=東京)」が注目される中で、1590年に徳川家康が江戸城に入城し、1603年に江戸幕府を開いてからの430年の歴史を振り返りながら、今も変化し続ける「生きた東京」を、地形と境界という視点から考察している書です。
本書は以下の5部構成から成っています。
1.東京が23区になるまでの長い長い道のり
2.区境に秘められた東京の歴史、東京の秘密
3.区境をめぐる激しい争い
4.地図・地名から東京を知る
5.東京23区の意外な境界線
この本の冒頭で著者は、「東京の中心はかつて『海の中』だった」と述べて、徳川幕府が開かれてから、どのような経過をたどって23区から成る「大東京」が形成されていったかを解説しています。
23区が形成されるまでの歴史上のポイントになる主な出来事は以下の通りです。
◆ 徳川家康の「運河」の開削
◆「江戸御府内」を江戸の市域に
◆「江戸府」の開設と、「東京府」への改称
◆「大区小区制」という地法制度の導入
◆「東京市」に格上げ、15区から35区に
◆ 東京市と東京府が廃止され、東京都に
◆ 35区から22区へ再編
◆ 板橋区から練馬区が分区されて23区に
その後、東京都の西側を「多摩郡」とし、「三多摩」になり、驚異的に人口が増えた、という経緯があります。
続いて、本書の前半では、河川の動向や経済事情などにより、あとから東京に加わった地域について解説されています。主な地区は以下の通り。
◆ 埼玉県だった「浮間地区」
◆ 経済的な事情により埼玉県から加わった「大泉地区」
◆ 西東京市は埼玉県と神奈川県が合体した都市
次に、区による領土争いや境界未定地の存在について紹介されています。主なものは以下の通り。
◆ 東京湾上で、江戸・港・品川3区の領土争い
◆ 江東区と大田区の領土争い
◆ 葛飾区の北端と埼玉県の間に二つの公園にはさまれた「境界未定地」
◆ 江戸川放水路にある東京と千葉の「境界未定地」
◆ 江戸川区と浦安市の境界
◆ 羽田空港にある「境界未定地」
◆ 荒川の河口に発生した「境界未定地」
◆ 銀座の超高級「境界未定地」
この本の後半では、地図・地名の由来や、23区の「意外な境界線」について紹介されています。詳細についてはぜひ、本書を手に取ってお読みください。
この本の巻末には、「参考文献」が掲載されています。さらに深く知りたい方は参考になります。
あなたも本書を読んで、東京23区の境界の謎を知ることで、より深く東京の地理と歴史を学んでみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!